ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」がスタート!全15話、月曜隔週で午後8時55分に公開!本家の月9にチャンネルを合わせる5分前。5分で読める恋愛ドラマのシナリオです。このドラマの脚本は「AbemaTV」主催で開催された第1回「シナリオライター賞」で、600作品の応募の中から大賞に輝いた山下すばるさん。“次世代の才能”に、誰もが9時5分前を待ちわびちゃうはず!

 

人物紹介

【月野みより】

これまでダメンズばかりと付き合ってきた29歳。

三年続いた真面目な恋人・慎一とはようやく結婚が見えてきて……?

 

【徳元慎一】

30歳。みよりの恋人。結婚式場で勤務。超ほのぼの平和系。誠実で優しい。

 

【ケンジ】

みよりの元カレ。

 

【ルリ】

みよりの大学の後輩。

 

 

第1話「恋のはじまり、恋の終わり」

○公園・ベンチ(夜)

静かな夜。

ベンチにぐったりと横たわっている女、月野みより(29)。

傍らには大きなキャリーケースとトートバック。

みより、夜空を仰ぎ、ため息をひとつ。

 

みより「最悪……」

 

 

〇結婚式場・ドレスルーム

三年前。

華やかなウエディングドレスが並ぶ部屋。

奥には人の気配がする試着室。

 

みより(声)「私の場合、恋の始まりは大抵最悪だ」

 

 

○同・試着室の中

ウエディングドレスを着た女性が耳に携帯電話をあてている。

月野みより(26)。

電話の相手は後輩のルリ。

 

ルリ(声)「(泣きながら)先輩、私、妊娠したんです……」

みより「……」

ルリ(声)「ケンジさんの……」

みより「……(電話を持つ手が震える)」

 

 

○同・ドレスルーム

勢いよく開いた試着室のカーテン。

式場スタッフの徳森慎一(27)と恋人のケンジが立っている。

鬼の形相で立っているみより。

 

ケンジ「おおー!似合ってんじゃん、みより!……あれ?どうしたの?怖い顔して」

みよりの右手に携帯電話、左手には真っ白のハイヒール。

みより「……」

みより、ハイヒールを高く突き上げて。

みより「(ケンジに)この……クソ野郎っ!!」

ハイヒールでケンジに殴り掛かるみより。

ケンジ「!!(逃げる)」

慎一「!お、お客様!」

みより「(追いかける)あんたね!よりによってルリちゃんと……私の後輩と何してんのよ!」

ケンジ「ちょ、待って!違う!一回だけ!一回だけだから!」

みより「はぁ?!……何、一発で、命中させてん、のよっ!(殴りながら)」

ケンジ「えっ!何?!命中って、なんの事、だよ?!(避けながら)」

慎一「お、お客様、危ないですから!落ち着いて下さい!!」

逃げるケンジを追いかけまわすみより、ドレスの裾を踏んで。

慎一「あっ!」

みより「!」

そのまま派手にズッコケるみより。

一同「……」

 

 

○同・控室

落ち込んだ様子で長椅子に座っているみより。

顔も髪もドレスも心もボロボロ。

みよりの服と靴を持って入ってくる慎一。

 

慎一「あの、お客様、あちらのお部屋でお着替えを……」

みより「はい……あの、すみません、色々と、暴れてしまって……」

慎一「いえ……」

みより「うっ……なんでかなぁ」

みよりの目から堪えていた涙が零れ出す。

みより「(泣きながら)あいつ、幸せにするって言ったくせに」

慎一「……」

みより「あ、すみません!私……もう最低。結婚式、招待状まで出したのに。こんなの恥ずかしくて、親にも友達にもなんて言ったらいいんですかね……」

慎一「……『よかった』って、言えばいいんじゃないですか?」

みより「……えっ?」

慎一、そっとみよりの前に跪く。

慎一「あんな男と結婚しなくて、よかった」

丁寧な手つきでみよりの靴を整え、そのまま優しくみよりの足に靴を履かせる慎一。

みより「……」

慎一「結婚する前に気付けてよかったって、笑ってやればいいんですよ」

慎一の陽だまりのような微笑み。

みより「……」

 

 

○ドレスショップ

三年後。

試着室からウエディングドレスを着たみより(29)が出てくる。

みより「慎一、どうかな?」

ラフな格好をした慎一(30)が振り返る。

 

慎一「……すごく似合ってる。綺麗だよ、みより」

みより「(嬉しそうに)ちょっと派手、じゃない?」

「そんなことないよ」「えー本当?」等と言い合う、幸せそうな二人。

みより(声)「あの最悪な一日が、私と慎一の、恋の始まりだった」

 

 

○レストラン・レジ前(夜)

会計をするみよりと慎一。

財布を出そうとするみよりの手を、さらっと止める慎一。

 

みより「……あ、ありがとう」

みより(声)「我ながら、これまでの人生は散々な男と付き合っていたなぁと思う」

 

 

 

○のどかな公園の池

ボートに乗っているみよりと慎一。

春風に揺られながら、池沿いの桜の木を眺めている。

「綺麗だね」「もう満開かな」等とほのぼの。

 

みより(声)「初めて付き合ったのは彼女がいる先輩だったし。付き合ってはいけない3B?バンドマン、美容師……あとなんだっけ。バーテンダー?そんなのもちろんコンプリート済みだし」

慎一「あ、見て!」

慎一の視線の先、水鳥が二羽、スイスイと。

慎一「可愛いねぇ」

みより「うん(平和だなぁ)」

 

 

○居酒屋・店内(夜)

食事をするみよりと慎一。

 

女「いつになったら奥さんと別れてくれるのよ!」

後ろの席で喧嘩をするカップルの声に振り返るみより。

男「こっちにだってタイミングっていうのがあるんだよ……ったく、ちょっとは俺の身にもなってくれよ!」

みより(声)「あぁ~、いたいた、あんな男とも付き合ってたっけ(うんうん)」

慎一「……みより」

みより「(気付かない)」

慎一「みより?」

みより「えっ、あ!ごめん、なに?」

慎一「見て」

慎一の手に、おしぼりで作られたペンギン。

慎一「ペンギン」

みより「あ、うん。可愛いね(しかし平和だなぁ)」

慎一「あ、うさぎも作れるんだよねー」

と、そのままうさぎ作りを始める慎一。

みより「……(平和すぎるなぁ)」

慎一「……あ、そうだ。そういえばこれ、作ったよ」

みより「?」

慎一、ポケットからクマのキーホルダーが付いた鍵を取り出す。

慎一「引っ越しの準備ができたら、いつでも来てくれていいから」

みより「うん……ありがと」

 

 

 

○お洒落な雑貨屋

お揃いのお皿やマグカップを楽しそうに選ぶみよりと慎一。

 

みより(声)「慎一と付き合って三年。今までのクソ男オンパレードからは想像もできないぐらい平和な日々を過ごす喜び……」

マグカップを手に、幸せを噛みしめるみより。

 

 

 

○慎一のマンション・前(夜)

スーパーの買い物袋を手に一人歩いて来るみより。

 

みより(声)「慎一といるとホッとする」

立ち止まり、合鍵に付いたクマのキーホルダーを見てにやり。

 

 

○同・エレベーターの中(夜)

エレベーターに乗っているみより。

 

みより(声)「まぁ、一緒にいてドキドキするとか、そういう事はほとんど無いんだけど……」

 

 

○同・玄関前(夜)

みより(声)「イライラする事も無いし。あぁ、落ち着くなぁって、しみじみ……」」

鼻歌交じりに歩くみより。

みより(声)「甘酸っぱくて刺激的な、そんな炭酸ジュースみたいな恋ではないけど。なんていうか、実家の麦茶?みたいな?」

ドアの前で腕時計をチラリ。

「よしっ」と頷いて鍵を開ける。

みより(声)「いつでも冷蔵庫のドアを開ければ、そこにあるって、そう思ってた」

ドアを開けるみより。

みより(声)「だから私は、すっかり忘れていたのだ」

 

 

○慎一の部屋・リビング(夜)

電気の消えた部屋。

扉から入ってくるみより。

月明かりに照らされた二つの影。

 

みより「?」

みより(声)「私の場合、恋のはじまりは大抵最悪……」

ソファに座っている上半身裸の若い男。

そして跪き、その男の足の甲にキスをしている慎一。 

みより「えっ……」

慎一「(振り返り、みよりに気付く)!」

みより「(絶句)……」

みより(声)「でも、恋の終わりは、もっと最悪だ」

 

みよりの手の中から、クマのキーホルダーの付いた鍵が、床に落ちていく。

 

 

第1話・了

 

脚本/山下すばる

 

 

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第2話「私をどこかへ連れてって」

6月18日(月)午後8:55公開

お楽しみに!