• ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める恋愛シナリオドラマ。全15話を、本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

これまでダメンズばかりと付き合ってきたみよりは、ようやく出会えた真面目な恋人・慎一と3年間の平和な交際を経て、結婚に向けて同棲の準備も進めていた。そんなある日、慎一の部屋を訪れたみよりは、慎一の浮気現場を目撃してしまう。しかも、その相手は男だった……!

 

【連続シナリオドラマ】きみはまだ運命の恋を知らない/第1話

 

人物紹介

【月野みより】
料理教室で働く29歳。
結婚間近だった恋人・慎一の浮気現場に遭遇してしまう。
【高梨香穂】
29歳。みよりと同じ職場の友人。
【徳元慎一】
みよりの恋人。

 

第2話「私をどこかへ連れてって」

○ハッピークッキング・教室内

みよりが働いているお料理教室。
教室の準備中のみよりと、同僚の高梨香穂(29)。
みよりのすすり泣く声が聞こえる。

 


玉ねぎを切っているみより。

 

みより「うっ……ううっ……」
香穂「ちょっと!もう、いつまで泣いてんのよ!玉ねぎぐらいで」
みより「違うわよ!(泣)」

香穂「はいはい、分かってるって。慎一くんね。それで?彼はなんて?」

 

○(回想)慎一のマンション・前(夜)

走って出てくるみより。
追いかけてきた慎一。

 

慎一「待って!(みよりの腕を掴む)……ごめん、ずっと黙ってて……僕……」
みより「……」
慎一「みよりの事は、本当に大切に想ってる。でも、僕は昔から、ゲイなんだ……」
みより「……えっ、じゃあ、なんで私と?」
慎一「それは、その……」
みより「なんで?じゃあなんで私と結婚しようなんて思ったの?」
慎一「……僕にとって、恋愛と結婚は別だった」
みより「はぁ?!じゃあ何?私の事、好きじゃないけど、結婚するにはちょうどよかったって事?」
慎一「……」
みより「はは、もういい。もういいよ……よかった、結婚する前に気付けて!」

 

慎一の手を振り払い、去っていくみより。
慎一に背を向けてから、みよりの目から涙が零れ出す。

 

 

○(戻って)ハッピークッキング・教室内
香穂「えー、すればよかったのに~、結婚!」
みより「はぁ?!何でそうなるのよ!」
香穂「だって慎一くんって、みよりが今まで付き合った男の中で、一番まともじゃん」
みより「えっ、でも……」
香穂「(指折り数えて)女好き、酒好き、ギャンブル好き、DV男にモラハラ男……その他クソ、クソ、クソ……今までの男達に比べれば……あんなにいい人いないって!……(小声)ただゲイなだけで」
みより「(ちょっと考える)……いや、いやいや!ゲイでもバイでも別にいいよ?でもね、浮気は浮気でしょ!てか、浮気ですらない。私の事、好きじゃなかったって事が問題なの!」
香穂「ふーん」
みより「私、ずっとカモフラージュだったんだよ。三年間、ずっと……えっ、三年だよ?」
香穂「みより……そんなに慎一くんの事、好きだったんだね」
みより「えっ……?」
香穂「だって実家の麦茶みたいな男だって言ってたじゃん」
みより「……そ、それは」
香穂「慎一くん、真面目だし、温厚だし。見た目もなにもかも無難で。可もなく不可もなく、みたいな?年齢的にもちょうどいいしって。みよりだって、彼をカモフラージュにしてたとこあるでしょ」
みより「はい?」
香穂「人生のカモフラージュ?別にそこまで好きじゃないけど、彼じゃなくてもいいけど、結婚さえすれば、なんとなく人並みに幸せそうに見えるって、そう思ってなかった?」
みより「……」
香穂「本気で好きだったって言えんの?」
みより「……」

 

○みよりのアパート・前(夜)
とぼとぼと歩いてくるみより。

 


みより(声)「なんも言えなかった……慎一の事、好きだったと言えば好きだったし、そうでもなかったと言えば、そうでもなかったかもしれない。『結婚したい』じゃなくて、『結婚してもいいかも』だったのかもしれない……」

 

○みよりの部屋・玄関
入ってくるみより。

みより(声)「子供の頃は、みーんな大人になったら、好きな人と結婚するんだと思ってた。それが当たり前で、それが幸せで」

部屋の中には引っ越しの段ボールの山。
それらを見渡して、溜息を吐くみより。

みより「どうすっかなぁ~、これ」
みより(声)「サンタクロースがクリスマスにプレゼントを運んでくるのと同じぐらい当たり前に、神様が運命の人に出会わせてくれるって思ってたけど……」

部屋に飾られたコルクボードに貼られたままの、みよりと慎一の幸せそうな写真。

 

みより(声)「サンタも神様もいなかった……」

みより、写真を剥がそうとする。

みより「あっ」
思いがけず、二人の間でビリッと破れる写真。

 

○同・前(朝)
大家のおばさんに頭を下げているみより。

 

みより「あの、そこをなんとか、新しい部屋が見つかるまで」
大家「ごめんねぇ!もう新しい入居者、決まっちゃって、礼金も貰っちゃったのよぉ!だから予定通り、明日までに出てって貰わないと困るのよねぇ。ごめんねぇ」
申し訳なさそうに去っていく大家。

 

みより「……どうしよう」
みよりの携帯電話が鳴る。
香穂からの着信。

みより「(電話に出て)もしもし?」
香穂(声)「みより、大変なの!」
みより「ごめん、私も今、相当大変なんだけど……」
香穂(声)「いや、違う、本当の本当の緊急事態!すぐ来て!ダッシュ!」
みより「?」

 

○ハッピークッキング・前
入り口扉の前に数人の従業員が集まっている。
その中の香穂、やってきたみよりを見つけて。

香穂「みより!(こっちこっち)」
みより、入口扉に張られた張り紙を見る。
会社倒産の告示書。
みより「!」
香穂「いつ潰れてもおかしくないぐらい暇だなーとは思ってたけどさ……」
みより「なに、これ」
香穂「どうする?私達、明日から無職……いや、今日からか……」
みより「嘘でしょ……(頭を抱える)」
みより(声)「なんなのよ、これ……」

 

○公園・前(夜)

キャリーケースと大きなトートバッグを持ったみよりが息を切らしながら歩いている。
みより(声)「恋人も、家も、仕事もいっぺんに無くなった」
公園の中に自販機とベンチを見つけるみより。

 

 

○同・ベンチ(夜)
ベンチに座り、缶ジュースをぐっと飲むみより。
みより(声)「私が一体何したっていうの……」
みより「あぁ。なんか、もう、疲れたなぁ……」
ぐったりとベンチに横たわるみより。
夜空に浮かぶ月を見ていると、泣きそうになって。
みより「私、もう、疲れたよ……(パタリ)」
と、目を瞑るみより。
みより(声)「こんな時、いつも想像してしまう。子供の頃に見たあの名作アニメみたいに、目を瞑ると、空から白い羽が生えた天使達が迎えに来る事を。だけど私のもとには、きっと天使も来てくれない」

 

突然、みよりの視界を、大きな黒い影が覆う。

 

みより「?」
ハッとして目を開けるみより。
みより「!!」
みよりの目の前、クマ(よく見るとリアルな着ぐるみ)がみよりの顔を覗き込んでいる。

 

みより「えっ!?」
みより(声)「(必死に目を擦り)やばい、クマだ!えっ、クマ?東京なのにクマ?!」
クマ、みよりをガバッと抱き上げる。
みより「えっ、嘘!」
そしてそのまま歩き出す、クマ。
みより「(驚きのあまり声が出ない)!」
みより(声)「えっ、なにこれ、えっ!えっ!声でない!えっ、どうしよ、どうなる?!」
みより「(ジタバタ)」
クマ「……」
みより(声)「てか、何この状況?!あまりに意味が分からなすぎる!」
みより、なんだか急にどっと疲れてしまって。
みより(声)「……あれ、やばい……私、なんかもう、どうでもいいかも……」   
視界がぼやけてきたみより、意識を失うように、そっと目を閉じていく。
みより(声)「もうどうでもいいよ……誰でもいい……人じゃなくても、天使じゃなくてもいい……クマでもいいから、誰か私を、どこかへ連れてって……」
クマと共に、夜の中へ消えていくみより。

 

第2話・了

脚本/山下すばる

 

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第3話「女の子なんだから」

7月2日(月)午後8:55公開

お楽しみに!