ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める恋愛シナリオドラマ。全15話を、(今は月9が終わっちゃたけど)本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

3年付き合った恋人・慎一と別れて傷心のみより。追い打ちをかけるかのように勤め先が倒産し、さらには同棲に向けて引っ越しの手続きを済ませていた為、部屋まで失う。あまりの不運の連続に、疲れ果てたみよりが公園で休んでいると、今度はなんと、クマに誘拐される?!なぜだ!なぜクマなんだ!連れ去られたみよりが目覚めた場所は……?!

 

【連続シナリオドラマ】きみはまだ運命の恋を知らない/第2話

 

本作の人物紹介

【月野みより】

恋も仕事も家も失った崖っぷちの29歳。 行き場が無く、公園で休んでいた所をクマに誘拐される?!

【神生ナツキ】

20歳。謎多き大学生の男の子。

【高梨香穂】

29歳。みよりの友人。

 

第3話『女の子なんだから』

○暗闇
みより(心の声)「う、うぅ……あ、痛い……背中……あれ?私、何してたんだっけ……」
みよりの瞼がゆっくりと開いていく。

 

○ナツキの部屋・中(深夜)
ソファに眠っていたみよりが目を覚まし、起き上がる。

 

みより「ここ、どこ……?」

 

十畳ほどのワンルームの部屋には、描きかけの白い鳥の油絵の大きなキャンバスや、陶芸品、その他よくわからない芸術品やガラクタが転がっている。
それ以外はシンプルな男の子の部屋という感じ。

 

みより「(気配を感じて)?」

 

後ろを振り返るみより。
クマ(着ぐるみ)が立っている。

 

みより「ハッ!(思い出し)そうだった!クマ!」

 

驚いて立ち上がるみより。
クマ、ゆっくりと、みよりに近寄ってくる。

 

みより「やだ!来ないでよ!」
みより(心の声)「何、なにこれ、この状況……意味不明すぎてめっちゃ怖い……」
後ずさるみより。
みより(心の声)「ていうかこれ、着ぐるみだよね?この人、何が目的なの?誘拐?変態!?」

 

クマ、一歩ずつみよりに近付く。

 

みより(心の声)「サイコパス?シリアルキラー?」
みより「……もうやだ(声が震えて今にも泣きそう)」
みより(心の声)「はっ!!……ユーチューバー?」

 

とうとう壁際に追い込まれるみより。

 

みより(心の声)「そうだ!きっとユーチューバーよ!落ち着け、落ち着け私!大丈夫!大丈夫!」
フラフラと体を揺らしながらみよりに迫るクマ。

 

みより「ハッ……ハッ……(怯える)」

 

クマ、そのままドンッとみよりに壁ドンの体勢に。

 

みより「(ビクッ!)……ハッ!ハロー!ユーチューブ!!(やけくそで)」
クマ「(動きがピタっと止まり)……」
みより「……?」

 

クマ、なぜかその場でバタッと倒れる。

 

みより「……へ?」

 

倒れたクマ、着ぐるみの頭が取れる。
中に入っていたのは、色白で整った顔立ちの美しい男の子。
神生ナツキ(20)。

 

みより「えっ、誰……」

 

ナツキ、汗をびっしょりとかいて、苦しそうに。

 

ナツキ「あ、暑い……み……水……」

そのまま力尽き、意識を失うナツキ。
みより「!!ちょっと!大丈夫?!」

 

○(時間経過)同・中(早朝)
朝になり、ベッドに横になっていたナツキが目を覚ます。

ナツキ「……し、死ぬかと思った」

 

隣で見守っていたみよりがコップに入れた水を差し出すと、一気に飲み干すナツキ。

 

みより「あの……大丈夫……ですか?」
ナツキ「あれ?……おばさん誰だっけ?」
みより「おばさん?!……いや、じゃなくて、それ、こっちのセリフなんですけど?」
ナツキ「……あ!思い出した、公園で寝てたおばさんだ!」
みより「おばさんはやめろ!」
ナツキ「怖……」
みより「いや、じゃなくて!なんなの君?!何してんの?なんで私を?てかなんでクマなの?」
ナツキ「あぁ、(クマの頭を指して)これ?大学の映画サークルの人に貰った。護身用。僕、喧嘩は弱いからね」
みより「は?全然意味わかんないんだけど。とりあえず君は大学生なの?」
ナツキ「うん。そうだけど」
みより「……」
みより(心の声)「未来ある若者が、なぜ、こんな訳の分からない事を?大丈夫なのか、この国は……」

 

頭を抱えるみより。
窓の外から小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 

ナツキ「あれ、今何時?」

 

ナツキ、部屋のカーテンを開ける。

 

みより「えっ、えっと、(腕時計を見て)もうすぐ六時だけど」
ナツキ「あっ、そう……じゃあもう、帰ってくれる?」
みより「えっ?」

ナツキ、テーブルの上にあったパンの袋を手に取り、窓を開ける。

みより「いや、あんたが勝手に連れてきたんでしょ!」

 

ちぎったパンをベランダにまくナツキ。

 

ナツキ「……それは悪かったよ」
みより「悪かったていうか、目的は何なのよ!ちゃんと説明してよ!」
ナツキ「いや、だって、公園で寝てたから……」
みより「は?寝てないし、ちょっと休んでただけだし!」
ナツキ「危ないだろ、あんなとこで寝るなんて。変な人とかいるかもしれないのに」
みより「何それ、心配してくれてたって事?てか、君がその変な人なんだよ。自覚ないの?」
ナツキ「おばさんさ、」
みより「(遮って)ちょっと待った!……もうお願いだからやめてくれないかな、それ、その呼び方は……」
ナツキ「あぁ……」
みより「まぁ、なんて呼べばいいかわかんないか。ええっと、私はその……」
ナツキ「みより」
みより「えっ?……な、なんで知ってるの?」
ナツキ「当たりか」
みより「??」
ナツキ「みより、(こっちこっち)見て、ほら(ベランダを指し)」
みより「……?」

 

みより、ベランダに近寄って外をみると、二羽の小鳥が仲良くパンを啄んでいる。

 

 

ナツキ「……この二羽は、『つがい』なんだ」
みより「は、はぁ……」
ナツキ「でもそれはこの世界でだけじゃない。ずっと前から、前世からの、つがいなんだ。二つの魂はずっと繋がっている。まさに運命だ」
みより「(?)へ、へぇ……」
みより(心の声)「えっ、何の話?なんかスピリチュアル始まった?」

 

ナツキ、優しい目でじっと小鳥を見つめている。
みよりもそのまま小鳥を見ていると、なんだか急に切なくなり。

 

みより「(小声)いいなぁ、君達は。寂しくなくて……」
ナツキ「……みよりにもいる」
みより「へ?」
ナツキ「つがい。きみはまだ知らないだけだ。みよりにも運命の相手がちゃんといる。だから、そんなに自暴自棄になる必要はないよ」
みより「自暴自棄……?私が?」
ナツキ「うん。公園で寝るのはやめた方がいいよ。女の子なんだから。危ないだろ」
みより「……」
みより(心の声)「女の子……」

 

○同・アパ―ト前(朝)
一人、出てくるみより。
ナツキの部屋のベランダを見上げる。

 

みより(心の声)「変な子……なんだったんだろう……」
みより「あれ?」

 

辺りをキョロキョロと見渡して。

 

みより「てか、私の荷物は!?」
みより、慌てて走り出すが、すぐに止まって。
みより「いや、その前にここどこよっ!」

 

 

○公園・前(朝)
クタクタになって歩いてくるみより。

 

 

みより「はぁ(息切れ)、やっと戻ってこれた……」
公園の中に人だかりが出来ていて。
みより「なにこれ……?」

 

 

人だかりの中に、パジャマ姿の香穂を見つける。

 

みより「えっ、香穂?何してんの!」
香穂「みより!!みより~~!」

 

香穂、みよりに気付いて、走って抱き着いてくる。

なぜかちょっと泣いている。

みより「なになに、どうしたの?」
香穂「生きててよかったぁああああ(泣)」
みより「は?」
香穂「朝起きたら、警察から電話があってさ。昨日の夜、ここで通り魔事件があったって聞いて。みよりの荷物がここに残ってたって言うから(泣)」
みより「えっ?」
香穂「ほら、みより、昨日うちに泊めてってメールくれてたじゃん?でも私、気付くの遅くて……ごめんね。あとから何度連絡しても繋がらないし。もし、みよりに何かあったらって、私、もう不安で不安で」
みより「香穂……あっ」

 

× × ×
(フラッシュバック)
ナツキ「護身用。僕、喧嘩は弱いからね」
ナツキ「公園で寝るのはやめた方がいいよ。女の子なんだから。危ないだろ」
× × ×

 

みより(心の声)「もしかして……」
みより「香穂、その事件って、どんな事件だったの?」
香穂「えっと、なんか、昨日の夜、刃物を持った男がこの近所で暴れてたんだって。それで何人もケガしたみたい。幸い、重症は無いみたいだけど……でね、たまたまね、最後にこの公園で襲われた人が、女装した男の人だったの。しかも柔道六段の。で、その人が捕まえてくれたって」
みより「……」
香穂「犯人は女の人だと思い込んで襲い掛かったらしいんだけど……実際は屈強な男の人でよかったよねぇ。いや、もうとにかくみよりが無事で安心したよ~~」
みより(心の声)「じゃあ、もしも私が昨日、あのままここにいたら、もしかしたら、私が……?」
香穂「あれ、てかみより昨日どこいたの?荷物も持たずに」

 

× × ×
(フラッシュバック)
みより「ええっと、私はその……」
ナツキ「みより」
× × ×

 

みより「そういえば名前も!」
香穂「??」
みより(心の声)「どういうこと……あの男の子、一体、何者なの?」

小鳥の鳴き声が聞こえて、空を見上げるみより。
二羽の小鳥が仲良く並んで空を飛んでいく。

 

第3話・了

脚本/山下すばる

 

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第4話「信じる者は恋をする」

7月16日(月・祝)午後8:55公開

お楽しみに!