ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める恋愛シナリオドラマ。全15話を本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

突然、仕事も家も恋人も失ったみより。公園で休んでいたところをクマの着ぐるみを着た大学生・ナツキに連れ去られる。しかし、ナツキはその夜、公園で発生する通り魔事件を予想していた?!不思議なチカラを持つナツキの正体とは……?

 

【連続シナリオドラマ】きみはまだ運命の恋を知らない/第3話

 

本作の人物紹介

【月野みより】
恋も仕事も家も失った崖っぷちの29歳。クマの着ぐるみを着た謎の大学生、ナツキに救われる。
【神生ナツキ】
20歳の大学生。不思議なチカラを持っている?!
【高梨香穂】
29歳。みよりの友人。

 

 

第4話『信じる者は恋をする』

〇住宅街(早朝)
小鳥のさえずりが聞こえる。辺りはまだ薄暗く。

 

 

〇香穂の部屋・中(早朝)
午前四時。けたたましく鳴り響くアラームの音。床の布団で眠っていたみよりが目を覚ます。

 

みより「(起き上がり、目を擦りながら)ん? 何?いま何時?」

 

みよりを見下ろすように、目の前で仁王立ちしている香穂。既に化粧はバッチリ。

 

香穂「みより、起きて、寝ている場合じゃない!」
みより「……は?」
香穂「タイム、イズ、マネー!(布団を引っぺがす)」
みより「ちょ!! 何!」

 

 

〇走っている電車・車内(早朝)
まだ窓の外は暗く、乗客はみよりと香穂だけ。

浮かれた顔の香穂と、眠そうなみより。

みより「あ、ごめん、全然意味わかんないわ……」
香穂「えっ、知らない?恋守神社の縁結びの天使だよ!」
みより「知らないし!てか眠いし!」
香穂「ほらー、十年前ぐらいに話題になったじゃん、あの男の子!よくテレビにも出てた!名前なんだったっけ、あれ!あれだよ、あれ!あぁーもう!ここまで出てるのに」
みより「知らないってば。もう名前いいから!」
香穂「とにかく、恋守神社の縁結びの紐を貰いに行けば、なんと!運命の人に、会えるの!」
みより「えっ……なにそれ……てかこんな朝早くから行く必要ある?」
香穂「だってそれ、毎週土曜日限定、先着二十名しか貰えないんだもーん!」
みより「……バーゲンセールかよ」
香穂「あー!そういうこと言う?みより、今、誰の家に泊まってるんだっけ?」
みより「うっ……すみません」
香穂「みよりだってさ、運命の恋、したくない?」
みより「ていうか、香穂ってそういうの興味あったっけ?」

 

 

〇山道(早朝)
空は少し明るくなっている。汗だくになりながら苦しそうに坂道を登るみより。

その隣でパシャパシャと景色の写真を撮りながらルンルンと楽しそうな香穂。

 

香穂「私さ!会社倒産した時、思ったんだよね~。あ、なんかもう働きたくないわ!!だるい!!結婚したい!!!って」
みより「……開き直ってるなぁ」

 

香穂「それで、街コンとか、婚活パーティーとか、マッチングアプリとか!色々試してみたんだけど」
みより「うんうん、いいじゃん!」

 

香穂「なんか乗り気になれないっていうか……気付いちゃったんだよね。私はもしかしたらそういう所で出会った人とは恋は出来ないタイプかもって」
みより「えー!そんなの分かんないって!どこで出会うかより、誰と出会うかでしょ?」

 

香穂「うん、それはそうなんだけどさ。私の場合、なんかこう、消去法になっちゃう気がして」
みより「消去法?」

 

香穂「うーん。例えばだけど。ほら、休みの日にさ、お昼ごはん何食べようかなーってなって、でもなんか、今自分が何を食べたいのかよく分からないなーって時、あるでしょ?それでとりあえず冷蔵庫を開けてみて」

みより「……(なんの話だ?)」

 

香穂「豚肉とキャベツがちょっとだけあるしなぁとか。カップ麺よりは、冷凍食品よりは、とか。あれとこれをひたすら比べて、最終的に、まぁこれが一番無難かなって、残り物で焼うどんとか、作ってさ」
みより「……」

 

香穂「そしたら食べ終わった後、あ、別に美味しかったけど、やっぱこれじゃなかったーって気がするんだよ。お腹は満たされてるけど、気持ちは微妙に満たされない……」
みより「うん。別にいいよね?お腹満たされてるんだし」

 

香穂「それじゃ嫌なの!!」
みより「なんでよ?」

 

香穂「本当はお昼の時間が来るよりも、お腹がすくよりも、もっとその前に、『あ、今日は無性にハンバーグが食べたい!』って思いたいの!しかもハンバーグの中でも、電車で一時間かかるあのお店の、あのハンバーグじゃなきゃ嫌だ!ってこだわりたい。それでわざわざ化粧して、電車に乗って食べに行って、その結果、お金も使うし、休みの日に疲れちゃったとしても、それでも私はそんな風にご飯を食べたい!仕方なく冷蔵庫を開けるんじゃなくて、ワクワクしながらドアを開けて飛び出したいの!(熱弁)」

 

みより「……いや、割と早い段階から思ってたけど、それとこれとは全然違くない?」
香穂「そうかなぁ?」

みより「私は残り物の焼うどんでも、美味しくて、お腹がいっぱいになれば、それでいいかな」

 

 

坂の上に、大きな鳥居がようやく見えてくる。

みより「あっ!やっと着いた~~」

香穂「でもさぁ」

立ち止まる香穂。

 

みより「ん?(も、立ち止まる)」

香穂「それって、向こうにとってもそうなのかなって。消去法。私、冷蔵庫の中のいちばんマシな野菜だったのかもしれない、なんて。思いたくないの」
みより「……」
香穂「だから私、どうせ婚活するなら、ガチの恋がしたい!運命の恋!その為には、神にもすがるって決めたの!」

 

鳥居に向かって、うわぁーっと走り出す香穂。

みより「げ、元気だねぇ……」

 

 

みより、その場で景色を見渡す。

いつの間にか高い所まで登っていて、見晴らしのいい景色。

みより(ナレーション)「その時、私はなぜか、小学生の時の初恋を思い出していた」

 

 

〇(回想・18年前)田舎の道(昼)
汗をかきながら必死に走っているみより(12)。

みより(ナレーション)「初めての恋。叶わなかったけど、あの頃はなりふりかまわず走ってた」

 

(回想終わり)

 

 

〇(戻って)山道(早朝)
思いにふけるみよりの頬を朝陽が照らして。

みより(ナレーション)「あの頃、無限に広がる青い空に、大きな太陽がひとつだけあるように、この男の子しかいないって。そんな風に思っていた気がする」

みより、慌てて香穂を追いかけ走っていく。

 

みより(ナレーション)「年齢、学歴、職業、年収、家柄も。誰かと誰かを比べる事もせずに、この人が好きだ!って真っ直ぐに走れたのは、いつまでだったかな……」

 

 

○恋守神社(朝)
古い神社にはハート型の絵馬が沢山結ばれてる。

 

大きな木のふもとに若い女性達の列が出来ていて。

やってきたみよりと香穂が列の後ろに並ぶ。

 

香穂「(人数を数えて)11、12、13、14……よかったぁ、18番目!」
みより「四時起きでもギリギリだったね……そんなにすごい紐なの?その縁結びの紐って」
香穂「いや、紐がすごいっていうよりは……」

 

みよりの後ろに、二十人目の女性が並ぶと同時に、鈴の音が鳴り響く。

 

女1「あ、きた!」
女2「やばい!かっこいい!」

ざわつく女性達。

そこに巫女の女性を引き連れて歩いてきたのは、袴を着た神生ナツキ。

 

香穂「出た!縁結びの天使!……うんっと、あーもう、名前なんだっけ!」
みより「えっ……あの子……あのクマの……」

 

× × ×
フラッシュバック。
みよりを連れ去るクマ。
クマの頭が取れ、顔を出すナツキ。
× × ×

 

巫女「皆様、本日は早朝からお集まりいただきありがとうございます。これより。この恋守神社の神主の御子息である、神生ナツキから、縁結びの紐をお配りします」

みより「あの子が、縁結びの……天使?」
香穂「あぁ、そうそう、神生ナツキだ……ほら、昔、『オーラの湖』に出てた、予言少年の!いやぁ、大きくなったなぁ!」
みより「予言少年……?」

 

ナツキ、みよりに気付き、目が合う。

 

みより「……」

意味深に微笑むナツキ。

 

順番に縁結びの紐を貰っていく女性達。
皆、ナツキに感謝をして帰っていく。

 

香穂の順番が来て、ナツキから赤い紐を受け取る香穂。

 

香穂「あ、あの!私、ファンです!」
みより(心の声)「(冷めた目で)よく言うよ、名前忘れてたくせに……」
ナツキ「(笑顔で)名前忘れてたくせに?」

 

香穂・みより「えっ!!」

 

ナツキ「あれ、もしかして本当に忘れてた?冗談だったんだけど」
香穂「……え、いや、えっと!」
ナツキ「まぁいいよ、簡潔に言おう。(香穂に)君の運命の出会いは……8年後だ!」
香穂「えっ!!は……8年後?って事は、えっと」
みより「(小声)37歳……」
香穂「嘘……そ、そこまで何もないの?私」
ナツキ「そこそこの恋はいつだって出来る。でも君が求めているような情熱的な運命に出会うのはきっと、8年後だ。以上!」

 

香穂「……(遠い目)」
みより「か、香穂、ただの占いなんだから!大丈夫だって」
ナツキ「そうだよ、落ち込むことはない。とても素晴らしいことだ。なぜならその時、君はとっても幸せだ(ニッコリ)」
香穂「……そ、そっか……そうよね、8年後の私はすごく幸せだよね。ははは……さ、仕事でも探すか~!」

 

カラ元気で列から抜けていく香穂。

 

ナツキ「はい、じゃあ次、おばさ」
みより「おい!」
ナツキ「じゃなかった、みより、だっけ?」
みより「わざとでしょ!てか、なんで知ってるのよ。名前」
ナツキ「ただ、なんとなく見えたっていうか」
みより「それはその……未来が見えてるってこと?あの公園で通り魔事件がある事も分かってて、あの時」
ナツキ「通り魔事件があったのか」
みより「えっ?」
ナツキ「別に僕は万能な予言者じゃないんだ。なんとなく、危ない予感がしただけで」
みより「……とにかく、どうもありがとう。助けてくれて」
ナツキ「いや、別にみよりを助けたかったとかではない」
みより「へ?」
ナツキ「簡潔に言おう。みより、君は明日、運命の人に会える」
みより「……え?はい?……あ、明日?運命の人?」
ナツキ「信じるか信じないかは自由だけど……」

 

 

ナツキ、みよりの手首に、赤い紐を結びながら。

 

ナツキ「僕は君が結ばれるべき相手を知っている。その運命の『縁』が見えている。僕があの日守りたかったのは、この『縁』だ」

赤い紐がきゅっと蝶々結びに結ばれる。

ナツキ「僕を信じれば、きっと、君は恋をするだろう」
みより「恋……」
ナツキ「それは一生に一度の、運命の恋だ。君は知りたくないか?運命の恋を……」
みより「運命の……恋……?」

 

みよりの目を見て、ニッコリと笑うナツキ。

 

 

 

第4話・了

脚本/山下すばる

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第5話「これが私の運命の人」

7月30日(月)午後8:55公開

お楽しみに!