ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める恋愛シナリオドラマ。全15話を本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

仕事も恋人も家も失ったみよりは、現在は友人・香穂の家に居候中。香穂と縁結びで有名な恋守神社へ出かけたみよりは、そこで不思議なチカラで身の危険から救ってくれた大学生・ナツキと再会する。ナツキは恋守神社の一人息子で、予知能力のようなものがあるという。みよりはナツキに「明日、運命の人に会える」と予言されて――?!。

 

 

本作の人物紹介

【月野みより】
恋も仕事も家も失った崖っぷちの29歳。
不思議なチカラを持った大学生・ナツキに運命の人に会えると予言される。
【神生ナツキ】
20歳の大学生。恋守神社の神主の一人息子。
不思議なチカラを持っている。
【東雲 千】
29歳。みよりの運命の人?!
【青柳陽一】
42歳。喫茶店『プルミエラムール』の天然店長。

 

 

第5話『これが私の運命の人』

〇並木道(昼)
お洒落をして、歩いているみより。

 

みより(ナレーション)「運命の出会いとはどういうものか」

 

強い日差しを感じて、鞄から折り畳み傘を取り出すみより。その拍子に、ハンカチを落としてしまうが、その事には気付かずに歩き続けて。

 

サラリーマン「あの……」

 

みより(ナレーション)「例えば、落としたハンカチを拾って貰う?」後ろから聞こえた声に振り返るみより。

 

サラリーマン「落としましたよ」

 

サラリーマンが、地面に落ちているハンカチを雑に指で差して。
サラリーマン「これ(冷たく)」

 

みより「あっ……はい……」
ハンカチを自分で拾うみより。

 

みより「ありがとうござ(言いかけるが)」

もうかなり先の方まで歩いているサラリーマンの後ろ姿……。
みより「……います」

 

 

〇本屋・店内(昼)
本棚に並ぶ本の背表紙を眺めて歩くみより。ふと目に留まったに一冊に手を伸ばす。

みより(ナレーション)「はたまた、たまたま同じ本を取ろうとして、手と手が触れてしまうとか」

 

横から伸びてきた手とみよりの手が少し触れ合って。

 

みより「あっ……!」

 

手を伸ばしていたのは分厚い眼鏡をかけた大学生の男の子で。目が合う二人。

 

大学生「……(早口で)今のは0コンマ6秒、僕の手の方が早く書籍に触れておりましたので。失礼!」と、本をスッと取って、レジに向かっていく。

 

みより「えっ、ちょ、えっ……えっ……」

 

 

 

○スーパー・店内(昼)
果物売り場を歩いているみより。

何気なく山になっていたリンゴを手にと取ると、バランスが崩れ、雪崩のようにリンゴが落ちていく。

 

みより「あっ!あぁ!(あわあわ)」

慌てて拾うみより。

 

すると、通りかかった爽やかな30代前半の男性がリンゴを拾うのを手伝ってくれて。

男性「(爽やかスマイル)はいっ!」

と、みよりにリンゴを渡す。

 

みより「あっ、すみません……ありがとうございます!」

 

一瞬、見つめ合う二人。

みより「……」

 

女の子「パパー!」

 

そこに駆け寄ってくる小学生の女の子。

男性「おっ、お菓子あったか?」
女の子をひょいと抱き上げ、去っていく男性。

 

みより「……」

 

みより(ナレーション)「落としたリンゴを拾ってくれた人とだって、恋に落ちるとは限らない」

 

その様子を少し離れたところから見ていたナツキ。

みよりが拾い忘れたまま、一つだけ転がっていたリンゴを拾う。

ナツキ「……」

 

 

〇歩道橋の上(夕方)

すっかり疲れ果てた様子で歩いているみより。

みより「……なにやってんだろ、私」

 

 

〇(回想)恋守神社

ナツキ「みより、君は明日、運命の人に会える」
みより「……へ?」

みよりの腕にキュッと結ばれた赤い紐。

 

みより「運命の……恋……?そんな、まさか」
ナツキ「信じないなら別に信じなくてもいいよ」

みより「……あの、それって、どこで?」
ナツキ「あ、信じるんだ?」
みより「えっ?あ、いや、信じてないわよ、そんなの!」
ナツキ「そう、それならそれでも、別に僕はかまわないけど?」
みより「……」

 

(回想終わり)

 

 

〇(戻って)歩道橋の上(夕方)

みよりの手にの中に赤い紐。立ち止まり、夕陽を眺めるみより。

みより(心の声)「なんで素直に場所聞かなかったんだ、私……」

 

みより「いや!じゃなくて! 運命の人なんて、いるわけないじゃん。なにやってんだ、私……」

 

そこに近づいてくる足音。みより、振り返ると、ナツキが立っている。

 

みより「えっ……」

 

ナツキ「……運命の出会いはドラマみたいにはいかなかった?」

みより(心の声)「えっ、なんで……?」

みより「もしかして、運命の人って……」

 

ナツキ「言っておくけど、僕ではない!」
みより「……あっそう!」

 

みより、ナツキがリンゴを持っているのを見て。

みより「それ……もしかしてだけど、私が今日一日、無駄に街中歩き回ってるの、ずっと見てたの?……あっ!バカなおばさんだと思って笑ってたんでしょ?!」

 

ナツキ「……いや、僕はそこまで暇じゃないよ」
みより「だったら何よ……」

 

ナツキ「本当のことを言うと……本来なら、みよりが運命の人と出会うのは、今日ではなかった可能性が高い」

みより「はぁ?!今更、何言って」
ナツキ「だけど僕はたまたま知っていた。みよりの運命の人が、今日どこにいるのかを」

 

みより「? どういうこと?」

 

ナツキ「あの日、僕がみよりをあの公園で見かける少し前、僕はたまたまある喫茶店の前で一人の男を見かけていた。そしてその男を見た瞬間に、彼の運命の相手が頭に浮かんだんだ。それがみよりだった。みよりの顔が、ハッキリと見えた」

 

みより「私に会う前に、私の顔が?」
ナツキ「そうだ。だからその後でみよりを見かけた時は本当に驚いたんだ。だってそんな風に運命で結ばれた二人を全く別々の場所で偶然見かけるなんて、初めてだったから。まるで探していたパズルのピースを偶然拾ったみたいな気分だった」

 

みより「……仮に、それが本当だとして、なんで今日その彼がどこにいるのかわかったの?」
ナツキ「電話で話していたからだ……彼は誰かと約束していて、その目の前の喫茶店の名前と、日付と、時間を話していた。僕は記憶力がいいんだ。たまたまその内容を覚えていた」

 

みより「えっ……じゃあもはや、そこは予知能力関係ないんだ……」

ナツキ「そういうこと。だからあの日にそのまま教えてあげようかとも思ったんだけど。でも、いきなり運命がどうとか言っても、変な人だと思われるからさ」
みより「いや、十分、変な人だと思ってたよ?!」

ナツキ「そしたら昨日、みよりがうちの神社に来たから、今度こそ教えてあげられると思って。それなのにみよりがあんまり素直じゃないもんだから。なんか教えるのやめちゃった」

 

みより「イジワルか!」

 

ナツキ「だけどそんなに必死に歩き回ってるの見たら、なんか可哀想になってきたよ……だから、ちゃんと教える。どこに行けば運命の人に会えるのか……」

 

みより「……」

 

 

 

〇喫茶『プルミエラムール』・前(夕方)
レトロな雰囲気の喫茶店。看板に『プルミエラムール』と書かれている。

扉の前に立っているみより。

 

みより(心の声)「ここに、私の運命の人が、本当にいるの……?」

 

緊張した様子でゆっくりと扉を開けるみより。

 

 

〇同・店内(夕方)
人の好さそうな顔をした店長・青柳陽一(42)が、不器用な手付きであたふたと料理を作っている。

店内には奥のテーブル席に座って新聞を読んでいる男の客が一人。新聞でその顔はすっぽりと隠れている。そこに入ってきたみより。

 

青柳「あ!いらっしゃいませ~!」
みより「あ、あの……」

 

ナツキ(声)「いいか、店に入ったらまず、すぐに麻婆豆腐を注文をするんだ」

 

 

〇(回想)歩道橋の上(夕方)


みより「えっ、麻婆豆腐?!」
ナツキ「うん、麻婆豆腐」
みより「喫茶店なのに?」
ナツキ「それが何か?」
みより「いやいや、無いでしょ!喫茶店に麻婆豆腐は!」

ナツキ「みより、この世に喫茶店に麻婆豆腐があってはいけないなんてルールはない。大丈夫。僕を信じて!」と、ニッコリ笑うナツキ。

 

(回想終わり)

 

 

 

〇(戻って)喫茶『プルミエラムール』・店内(夕方)


みより「あ、あの!ま、麻婆豆腐下さい!」
青柳「えっ、麻婆豆腐?」

みより「はい、麻婆豆腐……」

 

青柳「えっと……無い、ですね」
みより「えっ!無いんですか!?」

青柳「えっ、逆に普通はあるんですか?!喫茶店に麻婆豆腐?えー、どうしよう、知らなかったなぁ……」

なぜか真に受けている青柳。

 

みより(心の声)「やだ、やっぱ無いじゃん、麻婆豆腐!騙された!」

 

みより「(シュンとして)……いや、無いですよ、普通、麻婆豆腐は」

 

青柳「えっ……じゃあ一体なぜ、そんな注文を?た、試されている?!」
みより「なんかすみません……また来ます……」

帰ろうとするみより。

 

奥にいた男、二人の会話がついつい気になってしまい、新聞から顔を上げ、みよりを見る――。

 

男「(みよりの顔を見て)!」
驚いて、バッと立ち上がる男。

 

男「……もしかして、みっちゃん?」

 

みより「へ?(と振り返る)」

声をかけた男性客は、東雲 千(29)。

千「みっちゃん、だよね……?」

千の顔を見て、目を見開いて驚くみより。

 

みより「その呼び方……もしかして……」

 

 

〇(回想・18年前)田舎の道(昼)
汗をかきながら必死に走っているみより(12)。

 

 

〇(回想・18年前)田舎街の駅・ホーム(昼)
のどかな田舎の小さな駅。発車し始めた電車。

窓から寂しそうに顔を出している男の子、千(12)。

 

みより、改札を走り抜けて、息を切らしながらホームに走り込んでくる。

 

千「!(みよりに気付いて) みっちゃん!」
みより「千くん!」

 

徐々にスピードを上げていく電車。
電車を走って追いかけるみより。

 

千「みっちゃん!みっちゃん!」
みより「千くん!」

みよりに大きく手を振る千。

 

ホームの端まで走りつき、小さくなっていく電車に、必死に手を振り続けるみより。

みより「千くーん!千くーん!」

 

(回想終わり)

 

 

〇(戻って)喫茶『プルミエラムール』・店内
みより「せ、千くん……?!」
千「うん……そうだよ」
懐かしそうに微笑む千。

 

みより(心の声)「千くん。私の初恋の男の子……じゃあ、私の運命の人って……」

 

まるで時が止まったように見つめ合う、みよりと千。

 

みより(心の声)「えっ、ちょっと待って!運命の出会いが麻婆豆腐って……なんかちょっとダサくない?」

 

 

〇同・前(夕方)
店の外から、ガラス窓越しに二人を見ているナツキ。

 

ナツキ「ふっ。運命の出会いがロマンチックとは限らない。どこで出会うかではない、誰と出会うか、だな」

 

 

リンゴを齧りながら、満足気に立ち去っていくナツキ。

 

 

 

第5話・了

脚本/山下すばる

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第6話「みよりの初恋」

8月13日(月)午後8:55公開

お楽しみに!