ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める恋愛シナリオドラマ。全15話を本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

仕事も恋人も家も失ったみよりは、縁結びで有名な恋守神社の一人息子で、不思議なチカラを持った大学生・ナツキに「運命の人に会える」と予言されて喫茶店『プルミエラムール』を訪れた。そこでみよりは、小学生時代の初恋の相手・千に再会?!あまくてちょっと苦い、みよりと千の初恋が明かされる――。

 

【連続シナリオドラマ】きみはまだ運命の恋を知らない/第5話

 

 

本作の人物紹介

【月野みより】
恋も仕事も家も失った崖っぷちの29歳。
不思議なチカラを持った大学生・ナツキに運命の人に会えると予言されて、初恋の相手と再会する。
【東雲 千】
29歳。小学生時代のみよりの初恋の相手。
【ミカ、ユウナ、リツコ、タクヤ、リュウジ、マコト】
小学生時代のみよりと千のクラスメイトたち。

 

 

第6話『みよりの初恋』

〇(以下回想・18年前)小学校・外観(昼)
春。ひらひらと舞う桜の花びら。

 

みより(ナレーション)「私が千くんに出会ったのは、小学6年生の春――」

 

〇同・廊下(昼)


担任の先生に連れられ、歩いてくる小学6年生のみより(11)。
廊下の反対側から、別の先生と歩いてくる、同じく小学6年生の千(11)。

 

みより(ナレーション)「私たちは同じ日に、同じ学校の、ひとつ隣のクラスに転入してきた転校生。今思うと、それはたしかに運命だったのかもしれない――」

 

みよりと千の目が合う。

 

 

〇同・教室(昼)
算数の授業中。窓際の席のみよりがぼーっと外を眺めている。


窓の外から「せーん!、こっちこっち!」と聞こる。

運動場でサッカーをしている千を目で追うみより。

 

みより(ナレーション)「とはいえ、クラスが違う千くんとは話す機会も無かったし。それに私は、千くんは自分とは違うって思ってた。5月になってもひとりも友達が出来ない私と、あっという間に人気者になった千くん」

 

ミカ「(小声)みよりちゃん、みよりちゃん」
みよりの後ろの席のミカが先生にバレないようにこっそり話しかける。

 

ミカ「今度の遠足、一緒の班にしない?」
みより「(小さく振り返り)え、遠足?」
ミカ「あれ、聞いてないの?来週だよ」
みより「来週?!」

 

女教師「ちょっとそこ!何喋ってんの!」
先生に気付かれ、怒られるみよりとミカ。

 

ミカ「ごめんなさーい!(みよりに小声で)もう、みよりちゃんが大きい声出すから!」

みより「ご、ごめん……えっ、私と?同じ班に?いいの?」
ミカ「うん!だってほら、みよりちゃん友達いないでしょ?うちら三人だからさ、みよりちゃん入ってくれたら班の人数ちょうどいいから!みよりちゃんなら無害だし(悪気もなくニコニコと)」

みより「あ、あぁ……」

ミカ「それに、みよりちゃんだって余るのは恥ずかしいでしょ?」
みより「……え……あ、うん。じゃあ一緒に……」
ミカ、「やった!」と、離れた席にいるユウナとリツコにピースサインを送り、笑い合う三人。

みより「……」

 

 

〇同・廊下(夕方)

チャイムが鳴り、家庭科室から生徒たちが次々に出てくる。
わちゃわちゃと話しながら出てくるミカ、ユウナ、リツコ。

それぞれ手に透明の袋に入ったクッキーを持っている。

リツコ「ねぇ、みよりちゃん、一人で大丈夫かなー?」
ミカ「仕方ないじゃん?ジャンケンで負けたんだから」
リツコ「……でもなんかこれじゃ、いじめてるみたい」
ユウナ「だーいじょぶだって~!みよりちゃんだって、本当にイヤなら言うでしょ」

ミカ「ねぇ!それよりさ!私、このクッキー、千くんにあげよっかなー?」
リツコ「えっ、まじまじ?!」

ユウナ「千くんか~。憧れるよね~転校生。しかも名前も『千』なんて。なんかトクベツって感じする!」

ミカ「(大きな声で)あーあ!千くんがうちのクラスだったらよかったのにー!」

 

 

〇同・家庭科室(夕方)


みより「(廊下の会話が聞こえていて)……」
家庭科室に一人取り残され、使い終わった食器を片付けているみより。

みよりがふと窓から校庭を眺めると、校庭では千が友達と仲良さそうに下校しているのが見える。

みより「……いいなぁ、千くんは」

 

 

〇遊園地・内(昼)


遠足の日。楽しそうに横並びに腕を組んで歩いているミカ、ユウナ、リツコ。
と、その少し後ろを歩くみより。

 

ミカ「(アトラクションの看板を見て)え~、これ3人乗りだって」
ユウナ「どうする?」
リツコ「2人ずつ乗るしかなくない?」
ミカ「えっ、でもそしたら、誰か1人はみよりちゃんとだよ?」
ユウナ「ちょっと、聞こえるって」

みより「(聞こえている)……」

一同「……」

 

みより「(パッと笑顔を作って)あ、よかったら3人で乗ってきて!私、ちょっと疲れちゃった。あっちで休憩してくる」
リツコ「本当?大丈夫?」
ミカ「そっかそっかー!そんなら無理しない方がいいね?(笑顔で)いっぱい休んでていいからね!」
みより「……あ、ありがと」

 

 

〇同・ベンチ(昼)


一人、しょんぼりと、つまらなさそうに座っているみより。

 

みより「……なんで私ばっかり……」
みより、リュックからおもむろにクッキーが入った袋を取り出し、バクバク食べる。

と、そこに一人で近づいてくる千。

千「……何してんの?迷子?」

 

みより「!(千を見て、びっくりして、クッキーがのどにつまって)ん!……んん!」
咳き込むみより。ポケットから取り出したハンカチで口元を押さえる。

 

千「だ、大丈夫?」
千、慌てて水筒のお茶をコップにそそぎ、みよりにあげる。

みより「(飲んで)……(持ち直して)……あ、ありがと……クッキーむせた」

千、みよりの隣に座る。
みより「あ、あの、迷子じゃないから、どうぞお構いなく……?」

 

千「……学校楽しい?」
みより「へ?」

千「って聞かれるの、めんどくさくない?大人とかに」

みより「えっ。あ、まぁ、うん……」

千「じゃあ楽しくなかったら行かなくていいのかよって。なんかツイてないよなー。よりによって小6で転校って。しかもきて1か月で遠足って。みんなもう卒業に向けて思い出モードなのに、こっちは初めましてからって」

 

みより「(驚いて目を丸くして)……せ、千くんでもそんなこと思うんだ……?」
千「でもって?」
みより「だって、千くんはもう友達もいっぱいいるから。私と違って……私なんて、無理して頑張ってても全然友達出来ないのに……今だって、迷子じゃなくて、普通に一人なだけ……誰も私のことなんて探してないし……」

千「……」

千、みよりが手に持っているハンカチをじっと見る。

ピンクのタオル地のハンカチに、赤い糸の刺繍で『みっちゃん』と書いてある。

千「……『みっちゃん』?」

 

みより「! あ、これはその……おばあちゃんが縫ってくれたの……」

千「みっちゃんか……俺の『千』もたいがいだけど、みっちゃんの『みより』も珍しいよね」
みより「!(み、みっちゃん?)」

千「みっちゃんさ、そんな無理しなくていいんじゃない?」
みより「?」
千「だって中学行ったらまたどーせクラス変わるよ。もっといろんな人間増えるし。我慢したり合わせたり、そんなに無理して友達作らなくてもいいじゃん。やめたら?頑張るの」
みより「……そ、そんなの!……千くんは自分が人気者だからそんな事が言えるんだよっ!!」

千「……いや、俺、別に人気者じゃないけど……」

みより「え?」

千「俺のこと迷子に見える?」
みより「……?」

と、その時、千のお腹がぐーっと鳴る。

みより「あ……た、食べる?(と千にクッキーを差し出す)」


千「じゃあ、さっきのお茶と交換で……(と、クッキーをもらう)」

みより「……それ、こないだ家庭科で作ったやつ。家でも作ってみて……美味しいかどうか自信ないけど……」

千「(食べて)……みっちゃんこれ……めちゃくちゃうまいわ……」

みより「そ、そう?よかった(微笑む)……あ、ていうかその、みっちゃんって呼ぶのは、決定……?」
千「(クッキーをバクバク食べながら)うん!なんで?ダメ?」
みより「いや、いいけど……なんかあんまりイマドキじゃないっていうか。みーちゃんとか、みよりんとか、どうかな?そっちの方が可愛いくないかな?」
千「……うーん。いや、みっちゃんは、みっちゃんって感じ。もうこれ、しっくりきてるから」
みより「えぇえ……」

 

千「……みっちゃん(イタズラに呼んでみる)」

みより「……(恥ずかしくなって)ちょ、ちょっと!」

千「……(笑いながら)みっちゃん!」

みより「もうっ!」
楽しそうに笑い合うみよりと千。

 

 

みより(ナレーション)「千くんと初めて話して、世界一憂鬱だと思っていた遠足が、ちょっぴり甘い思い出になった。千くんが私を『みっちゃん』と呼ぶ声は、クッキーのざらざらと一緒に私の中に優しく残った――」

 

 

× × ×
少し離れた所からみよりと千のやりとりを見ていたミカ、ユウナ、リツコ。
ミカ「はぁ?なにあれ!なんであんなイチャついてんの?」
ユウナ「……まぁ、いいんじゃない?別に」
ミカ「えっ!なんで!」
リツコ「……もしかして、ミカ、知らない?」
ユウナ「千くんの噂……」
ミカ「噂……?」

 

 

〇小学校・裏庭(夕方)


大きなごみ袋を持って、ゴミ捨てに来たみより。
ゴミ捨て場の前、男子生徒のタクヤ、リュウジ、マコトが千を囲んでいる。

みより「?」

 

タクヤ「調子乗ってんじゃねーよ!」
ドンッと、千をゴミ袋の山に突き飛ばすタクヤ。

 

みより「!」

千「……別に関係ないだろ。お前らに迷惑かけてないし」
タクヤ「はぁ?」
リュウジ「(タクヤに笑いながら)もうやめとけよ、犯罪者の息子だぜ。何されるかわかんねー」
マコト「迷惑ならかけてるよ。お前の母ちゃんがみんなの父ちゃんユーワクしてるって!うちの母ちゃん言ってたもん!」

リュウジ「きもちわりー」
千「……」

 

タクヤ「あーあ、なんかショックだわ。友達だと思ってたのに。今まで全部隠して、よくそんな普通のフリできたな?貧乏人が」
千「なんだよ普通って……そうやって3人がかりじゃないと、何も言えないの?」
タクヤ「お前なぁ!(千に掴みかかる)」

みより「(目を瞑って)!」

 

リュウジ、みよりが傍に立っていることに気付いて。
リュウジ「月野!……何見てんだよ!」
みより「えっ、あ、えっと……」

 

一同、気まずい空気に。

みよりに「チクんなよ」等と愚痴りながら去っていくタクヤ、リュウジ、マコト。
ゴミの山に座り込んだままの千。

 

みより「(千に近寄って)あ、あの……大丈夫?」
千「(立ち上がって)別に……」
みより「……あ、えっと、先生に言おう!私、ちゃんと見てたって言うし……」
千「大丈夫だよ。(手で体に付いた汚れを払いながら)前もこういうのあったし。慣れてるから」
みより「で、でも……」
千「本当にいいから……先生に言って母さんに心配かけたくないんだ」

 

 

〇公園(夕方)


ブランコに並んで座っているみよりと千。

 

千「……うち、母子家庭なんだ。借金があって、母さんが必死に働いてる。昼も夜も……」
みより「……」
千「何したとか、本当のことはよく知らないけど、ここに来る前、父さんが逮捕されて……でも、あいつは家にいる時はずっと酒飲んで暴れてばっかだったし、俺は正直、せいせいしたっていうか……」

みより「……」

千「……ごめん。困るよね、こんな話……」

 

みより「……千くん、私ね、今、お父さんとお母さんが盛大にケンカしてて……それでしばらくお母さんとこっちに引っ越すことになったの……」
千「えっ……」
みより「……だから今は、おばあちゃんと三人で暮らしてる……私ね、そういうことはなるべく隠そうと思ってた。みんなに普通だって思われたくて……でもさっきね、それ、バカみたいだなって思ったよ」

千「……」

 

みより「普通とか、普通じゃないとか、みんなそんなことで、ついこの前まであんなに仲良くしてたのに。千くんは千くんのままなのに。そんなことで変わっちゃうなんて、バカみたい。かっこ悪いよ……」

千「……」

 

みより「……でも、私もかっこ悪い……かっこ悪いこと、みんなにかっこ悪いって言えないもん。嫌なことも嫌って言えないし、全然楽しくなくても楽しいフリして笑っちゃうし……だって一人になるの怖いんだもん……そんな自分が嫌になる……(泣きそうになる)……でも、千くんはすごいよ。ちゃんと言い返せて、かっこいいって思ったよ」

千「みっちゃん……」

みより「……千くんは、怖くない?一人ぼっちになるの……」
千「……怖いよ、俺だって……でも、誰かを一人ぼっちにするよりはいいし(と笑顔で)」
みより「千くん……」

千「それに一人じゃないし……みっちゃんもいるし」

みより「えっ……(少し照れて)」

力強く、ブランコを漕ぎ始める千。

夕陽に照らされた千の凛々しい横顔。

 

みより(ナレーション)「千くんは、たとえ貧しくても、傷つけられても、いつも笑って前を向いていた。強くて明るい、太陽みたいな男の子――」

 

みより「(千をじっと見つめて)……」

 

 

〇小学校・裏庭(昼)


人気のない裏庭で、ベンチに並んで座っているみよりと千。

みより「これ、今日の家庭科で作ったから」
と、千にパンの入ったビニール袋を渡すみより。

 

千「えっ、くれるの?」
みより「う、うん」
千「それってもしかして……うちが貧乏だからとか、そういう」
みより「ち、違うよ!……その、えっと……私はただ、千くんのことが……」
千「?」
みより「いや……えっと……ダイエット! 私、ダイエット中なの!」

千「そうなんだ。まぁ、そういうことなら……」
と、パンを食べはじめる千。それを見て微笑むみより。

 

みより(ナレーション)「それから私にとって家庭科の調理実習は、千くんと話す小さな口実になった。千くんはいつも美味しそうに食べてくれて。私はそのひとときが楽しみで楽しみで仕方がなかった」

 

 

〇月野家・みよりの部屋(夜)

学習机に座って、教科書をランドセルに入れているみより。
みより、エプロンを畳んで、巾着袋に入れ、紐をきゅっと結ぶ。

壁に貼られたカレンダーの『調理実習(マーボー豆腐)』と書いてある欄を見て、ふふっと笑うみより。

 

 

〇同・教室(朝)

みよりが入ってくる。教室内はなにやら騒がしい雰囲気。

ミカ「あ、来た来た」

クスクスと笑いながら、みんながみよりを見ている。

黒板に大きく書かれた相合傘。傘の下には『千』と『みより』。
そこにみよりと千の絵も描いてある。

耳としっぽが足されて犬に見立てられた千に、みよりがエサをあげている絵。

 

みより「な……なにこれ!」
タクヤ「だって月野、いっつも千にこっそり餌付けしてるだろ?」
みより「え、餌付けって……私はそんな」
マコト「あいつんち貧乏だもんなー。可哀想だもんなー?優しいよな、月野さんって」
みより「……違う!私は別に、そんな事思ってない!」

タクヤ「じゃあなんで?」

ミカ「もしかして……好きなの?千くんの事」
ユウナ「まじで?!(ひやかして)」

タクヤ「あー、そういえばお前ら同じ日に転校してきたもんな。運命なんじゃね?」
マコト「本当じゃん!運命じゃん!ヒューヒュー!」

教室にいる生徒達はがみんなみよりを見てクスクスと笑っている。

 

そこに、リュウジが千を連れて教室に入ってくる。

みより「……千くん」

ミカ「きたきた。みよりちゃん、好きなんでしょ?告白しちゃえば?」
「告白!告白!」と、教室内で沸き起こる告白コール。

 

みより「(困って)……」
千「……お前らいい加減に(言いかけて)」

みより「……すっ……(大きな声)好きじゃない!!」

 

一同「……」

さーっと静まり返る教室。

 

みより「……好き、とかじゃないし……私は……関係ないから……」
千「……」

タクヤ「あーあ、千くん、フラレちゃったなー?ドンマイ!(笑)」

ドッと笑う生徒達。
その中で静かに目が合う、みよりと千。

みより「……」

気まずそうに、さっと視線をそらすみより。

千「……」

 

みより(ナレーション)「最低だ。私は怖かった。自分もいじめられるかもしれないって。私は自分が一人ぼっちになるのが怖くて、千くんを一人ぼっちにしたんだ――」

 

(回想終わり)

 

 

第6話・了

脚本/山下すばる

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

第7話「千くんに会いたい!」

8月27日(月)午後8:55公開

お楽しみに!