ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める恋愛シナリオドラマ。全15話を、(今は月9が終わっちゃたけど)本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

運命の人・千に再会する為に、ナツキと同居を始めたみより。なかなか千に会える方法を教えてくれないナツキだったが、やっと千に会えることに! しかも大人になった千は大企業の副社長だった?! みよりのシンデレラストーリーが、ついに開幕――?!

 

【連続シナリオドラマ】きみはまだ運命の恋を知らない/第9話

 

本作の人物紹介

【月野みより】
29歳。喫茶店でアルバイトをしながら、運命の恋を叶える為にナツキと同居中。
【神生ナツキ】
20歳の大学生。恋守神社の一人息子。
不思議なチカラを持つ恋のキューピット。
【東雲 千】
29歳。みよりの初恋の相手で運命の人。東雲ホールディングスの副社長。
【高梨香穂】
29歳。みよりの友人。
【冴島ユリ】
27歳。千の大学の後輩。
冴島グループの社長令嬢。
【東雲修一】
55歳。東雲ホールディングスの社長。
千の義父。

 

第10話『シンデレラになれない』

○ナツキの部屋・居室(朝)


パーティドレスを着たみより。
鏡を見ながら、口紅を塗ったり、イヤリングをつけたり。

 

みより(ナレーション)「シンデレラは、あざとい」
新品のハイヒールを箱を開けるみより。

 

みより(ナレーション)「だってそうでしょ? 去り際にガラスの靴を片方だけ落としていくなんて。絶対それ、わざとだよ?」
大事そうに取り出して、鏡の前で、片方ずつそっと履いてみる。
みより(ナレーション)「私にはカボチャの馬車も、ガラスの靴も、12時に溶ける魔法もない。それでも私は今夜、シンデレラになるんだ――」
期待に胸を膨らませるみより。

 

そばに来たナツキ。

ナツキ「どうしたんだ? そんなパーティーにでも行くような格好して」
みより「えっ? だって行くんでしょ? パーティー。千くんに会いに!」
ナツキ「あぁ、それか……」

 

○パーティー会場・内(夜)


パーティーを楽しむ東雲ホールディングスの社員や招待客達。
その片隅で、ケータリングサービスの制服を着たみより、香穂、ナツキが料理のそばに立っている。

 

みより「(ナツキに)……どういう事?」
ナツキ「うん? 似合ってるよ、みより。ドレスより似合ってる」
香穂「うん! 似合ってる似合ってる!」
みより「嬉しくないから!(香穂に)てか、大丈夫なの? 勝手に部外者連れて来たりして」
香穂「大丈夫っしょ! こういうのはね、制服来てたらバレない!」
みより「いや、バレるって……」
香穂「……で、いつ話しかけるの? 千くん。さっきからずーっとあそこにいるよ?」

 

みより「……」
みよりの視線の先。
千が華やかなドレスを着た数人の美しい女性たちに囲まれている。
香穂「あ、あの中にいる赤いドレスの人、モデルのRISAKOじゃない?」
ナツキ「本当だ。テレビで見た事あるな」
みより「……」

 

その時、千がなんとなく視線をみより達の方に向ける。
みより「!」
バッとしゃがんでテーブルの裏に隠れるみより。

 

× × ×

千「(誰かが隠れるのが見えて)?」
そこに近付いてくる千の義父・東雲修一(55)と、上品なドレスを着た可憐な女性・冴島ユリ(27)。

× × ×

 

テーブルの裏から、千、ユリ、修一が楽しそうに話しているの見ているみより。
みより「……」
香穂「あれ、千くんのお義父さんかな。東雲ホールディグンスの社長? それに、私あの女の子知ってる」
みより「えっ?」
香穂「インスタで見た事あるんだけど。なんて名前だったかな。でも、確かお金持ちの……」
ナツキ「冴島ユリだな。冴島グループの社長の娘だ」
みより「……やっぱり無理」
香穂「えっ?」
みより「私なんかじゃ、千くんとは世界が違いすぎるよ……帰る」
とその場を離れていくみより。

 

香穂「えっ。ちょっと、みより! ナツキくん、みよりが帰るって……ってあれ?」
いつの間にか姿を消しているナツキ。

香穂「?」

 

○同・廊下(夜)


ユリが千とスマホで2ショット写真を撮っている。
ユリ「ねぇ、これインスタにあげてもいい?」
千「えっ」
ユリ「冗談だよ。私、千くんの写真は独り占めしたいもん」
千「……」
ユリ「それより、お母様の具合どう?」
千「どうもこうも、ただの骨折だよ」
ユリ「骨折だって大変じゃない。私、お見舞いに行ってもいい? まだ一度もご挨拶出来てないし」
千「ユリ……その事なんだけどさ」

 

ユリ「(話を遮って)ねぇ、覚えてる? 私たちが最初に知り合ったのも、こんなパーティー会場だったよね?」
千「あぁ、うん」
ユリ「私が酔っ払った男の子に絡まれて困ってたら、千くん、助けてくれて」
千「……うん、覚えてる」
ユリ「あの時は嬉しかったな。大学に入学した時から、ずっと千くんに憧れてたから……私、こうしてまた千くんに出会えたのは運命だって思ってるの」

 

千「……」
ユリ「千くんはどう思う?」

 

その時、廊下の先の方から、うめき声が聞こえてくる。
ナツキ「うっ……うっ、うぅ」
苦しそうに蹲っているナツキ。
ナツキはお腹に大きな袋を抱えている。
千、慌ててナツキに駆け寄って。
千「大丈夫ですか?」
ナツキ「すみません。ちょっと、持病が……どこか、休む所ありますか?」
千「たしか、あっちにベンチがあります。一緒に行きましょうか?」
ユリ「大丈夫? 私も手伝おうか?」
千「ううん、大丈夫。ユリは先に戻ってて」

 

ユリ「……千くんは優しいよね。誰にでも」
千「……」

 

ユリ「じゃあ、またね」
去っていくユリ。

 

ナツキ「……あの、ちょっとお願いがあるんですけど……」
千「?」

 

○同・中庭のベンチ(夜)


とぼとぼと歩いてきたみより。
ベンチに座って溜息を吐く。

みより「私、なにやってんだろ……」

 

みより(心の声)「ちょっと考えれば分かる事だった。千くんは見た目もかっこよくて、優しくて、大きな会社の副社長で。そんな千くんの周りには、それに見合った素敵な人が沢山いて当然だ……私なんて……」

 

ナツキ「何してるんだ」
みよりの前に歩いてきたナツキ。
みより「……」
ナツキ「完璧な東雲千を前にしたら、怖気づいた?」

 

みより「私、気付いちゃったの。自分が何にも持ってない事に……アルバイトだし、貯金もないし、居候だし……それを全部まるごとカバーできるような、可愛い人でもない。付加価値ゼロ。こんなのが運命の人だなんて、千くんに申し訳ないよ……シンデレラにはなれない、シンデレラみたいに、そんな簡単にはいかないよ」

 

ナツキ、みよりの隣に座って。
ナツキ「みより……シンデレラはどうして王子様と結ばれたんだと思う?」
みより「? それは、魔法使いが、シンデレラに魔法をかけて……」
ナツキ「違うよ」
みより「?」

ナツキ「いくら魔法をかけたって、見た目は華やかに出来ても、シンデレラの中身までは変えられない。シンデレラが幸せを手に入れたのは、魔法のおかげじゃないよ」
みより「……」
ナツキ「シンデレラは自分の意思で、勇気を出して舞踏会に行ったんだ。見つかったら叱られて、またいじめられるかもしれない。身の程知らずだと笑い者にされるかもしれない。今よりもっと、傷付くかもしれない。それでもシンデレラは王子様に会いに行ったんだ」
みより「……」
ナツキ「みよりだって、運命の人に会う為に自分の足でここに来たじゃないか……それに、何も持ってないなんて言わせない」

 

みより「?」
ナツキ「みよりには僕がいる」
みより「えっ……」
ナツキ「僕はカボチャの馬車にも、ドレスにも、ガラスの靴にだって負ける気がしないよ?」

 

みより「ナツキ……」
ナツキ、立ち上がって。
ナツキ「みよりはあと5秒ここにいて。そこから先はみより次第だから」
みより「えっ?」
立ち去るナツキ。
みより「……」

 

ナツキが去っていった反対の方から、近付いてくる足音。

みよりの前に千が現れる。

 

みより「!」

千は手に花束を持っている。

千「……みっちゃん?」

 

 

○(回想)同・廊下(夜)


ナツキ「あの、ちょっとお願いがあるんですけど……」
千「?……なんですか?」
ナツキ「水を持ってきてくれませんか。薬を飲みたいので……」
千「分かりました。ちょっと待ってて下さい」
と、慌てて走っていく千。
ナツキ、千が見えなくなると、立ち上がり、持っていた袋から花束を取り出して、ニヤリと笑う。

 

× × ×

ペットボトルの水を持って、ナツキが蹲っていた場所に戻ってきた千。
ナツキは姿を消していて。
そこに、花が一本落ちている。
見ると、花は1、2メートル程の間隔で道しるべのように置かれていて。
千「?」
戸惑いながらも、花を辿って、拾い集めながら歩いていく千。
(回想終わり)

 

 

○(戻って)同・中庭のベンチ(夜)

向かい合うみよりと千。
千「みっちゃん、どうしてここに?」
みより「えっと、その……」

 

千「あ、ケータリングの?! すごい、こんな偶然って」
みより「……」
千「あ、さっき同じ制服の子が、具合悪そうにしてたけど。みっちゃん知らない?」
みより「それって、大学生ぐらいの男の子?」
千「あ、そうかも。 水を頼まれたんだけど、居なくなってて……」
みより「そういう事か……あ、その子なら大丈夫。それ、嘘だから……」
千「えっ?」
みより「……ごめん、千くん。私がここにいるの、偶然じゃないの。私はケータリングのスタッフでもない」
千「どういう事?」
みより「私、千くんに会いに来たの。自分の意志で。ケータリングのスタッフのフリをして、このパーティに忍び込んだ……」
千「えっ」

 

みより「怖いよね……でも私、千くんに会えて本当に嬉しくて。また会えるかもしれないって、あの喫茶店でバイトも始めて。あっ、これ話せば話すほど怖いね……でも、どうしても会いたくて!」
千「……」
みより「会って謝りたかった、あの頃の事……ごめんね。あの頃、ちゃんと話せなくて。麻婆豆腐、渡す勇気もなくて……」
千「みっちゃん……俺もずっとみっちゃんに言いたかった。あの時、駅のホームで、みっちゃんが追いかけてきてくれた時。ありがとうって、ちゃんと言いたかった……」
みより「千くん……」
千「それに実は俺も行ったんだ、あの喫茶店。みっちゃんに会えるかもしれないと思って……」
みより「えっ」
千「どうしても会いたかったから」
みより「千くん……本当に?」
千「うん。だから嬉しい。みっちゃんがここにいるのが、偶然じゃなくて……」
みより「……」
千、みよりに花束を渡し、優しく微笑む。
千「ありがとう。会いに来てくれて」
みよりが花を受け取り、見つめ合う二人。

 

 

○喫茶店『プルミエラムール』・外観(昼)

1週間後。

 

○同・店内(昼)


テーブルを拭いているバイト中のみより。
店の扉がゆっくりと開く。
入口扉に付いたベルが鳴り、扉の方を見るみより。

 

みより「いらっしゃいませ――」
外から千が入ってくる。
みより「……千くん!」
千「……あの……麻婆豆腐、ありますか?」

みより「!」
千「(微笑んで)」
みより「(も、微笑んで)……あります」

みより(ナレーション)「こうしてついに、私と千くんの恋は始まった。これはきっと、運命の恋――」

 

○同・前(昼)
店の外からガラス越しに店内を覗くユリ。
店の中に、美味しそうに麻婆豆腐を食べる千と、それを愛おしそうに見つめるみよりが見える。

ユリ「……なんで?」
ユリ、スマホを出して、二人を盗撮する。パシャッ――。
撮った写真をチェックするユリ。
ユリ、写真の中のみよりの顔を拡大して。
ユリ「映えない女……私の方が可愛いのに」

みより(ナレーション)「だと、思ってた。この時は……」

 

 

第10話・了

脚本/山下すばる

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第11話「二人の関係」

10月22日(月)午後8:55公開

お楽しみに!