ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める月9みたいな恋愛シナリオドラマ。全15話を、本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

ナツキの力を借りてようやく運命の人・千に再会したみより。千とデートを重ねて幸せな時間を過ごしながらも、曖昧な関係を不安に思っていた。そんな中、千から「結婚しようと思ってる人がいる」と告げられてしまう。

 

【連続シナリオドラマ】きみはまだ運命の恋を知らない/第11話

 

本作の人物紹介

【月野みより】
29歳。喫茶店でアルバイト。運命の恋を叶える為にナツキと同居中。
【神生ナツキ】
20歳の大学生。恋守神社の一人息子。
不思議なチカラを持つ恋のキューピット。
【東雲 千】
29歳。みよりの初恋の相手で運命の人。東雲ホールディングスの副社長。
【高梨香穂】
29歳。みよりの友人。
【冴島ユリ】
27歳。千の大学の後輩。冴島グループの社長令嬢で人気インスタグラマー。
【東雲佐和子】
50歳。千の母親。

 

 

第12話『20代最後の恋』

○千の住むマンション・前(夜)


泣いているみよりの腕を掴んでいる千。

 

千「みっちゃん……」
みより「……」
千「俺、みっちゃんの事……」

 

みより「聞きたくない」
千「……」

 

みより「もう、何も聞きたくない……」
千の手を振りほどき、去っていくみより。

 

千「……」

 

呆然とする千に近付いてくる足元。
千が気付くと、ユリが立っている。
千「ユリ……」
ユリ「……」

 

 

○住宅街(夜)

一人、泣きながら歩いているみより。
ふと立ち止まり、後ろを振り返る。
しーんとした、暗い夜道が続いていて。

 

みより「……」

 

 

○ナツキの部屋・玄関前(夜)

歩いてきたみより。
みより「あ、やばい、顔……」
ハンカチを取り出して、涙を拭うみより。

 

カバンの中、スマホに付いているペンギンのストラップが見えて。
みより「(また涙が出る)……だからいらないって言ったのに」

 

 

○同・玄関(夜)
玄関のドアにもたれて立っているナツキ。
ドアの向こうから、微かにみよりの泣き声が聞こえてくる。

ナツキ「(下を向いて)……」

 

 

○カフェ・店内(夜)


向かい合って座っている千とユリ。

 

ユリ「結婚の事、ずっと迷ってたのはあの人がいたから?」
千「……(頷く)」
ユリ「そっか……でもあの人、千くんに嘘ついてたんだよね?」
千「えっ」

 

ユリ、スマホの画面を千に見せる。
盗撮されたみよりとナツキの写真。

 

千「……これ、ユリが?」

 

ユリ「違うよ……知らない人から送られてきたの。こっちの写真と一緒に」
ユリが画面を指でスワイプさせ、次の写真に変わる。
千とみよりが楽しそうに水族館デートをしている様子が隠し撮りされた写真。

 

千「! 誰がこんな事……」
ユリ「それは分からないけど……」
千「……」

 

ユリ「私ね、人を雇って調べたの。月野みよりさんの事……」
千「えっ……」
ユリ「千くんが心配で……知ってる? みよりさん、三か月ぐらい前には婚約者がいたのよ」
千「えっ?」
ユリ「でも婚約破棄してすぐに、あの写真の男の子と同棲し始めてる。あの子、まだ大学生だよ?」
千「……」
ユリ「それだけじゃない。彼女、これまでも相当色んな人と付き合ってたみたいで。不倫経験もあるって……」

 

千「……」

 

ユリ「なんか怖いよあの人。こんな事言いたくないけど、千くん、騙されてるよ。きっと千くんが、お金持ちの息子になったって知って。それで」

 

千「やめてくれないかな? そういうの」

 

ユリ「えっ……」
千「そんな個人的な事、勝手に調べるなんて」
ユリ「でも、全部本当の事で」
千「それが本当の事でも、みっちゃんはそれだけじゃないから……」
ユリ「……どうして?……あんな女のどこがいいっていうの?」
千「ごめん……やっぱりもうちょっと考えさせてくれないかな、結婚の事……」
千、伝票を持って、席を立とうとする。

 

ユリ「結婚はするわ!」

 

千「(止まって)……」
ユリ「千くんは私と結婚する。だってそれが東雲社長の望んでる事だもんね?」
千「……」
ユリ「千くん、自分のいる場所分かってる? 千くんがそこにいられるの、誰のおかげだと思ってるの? 」
千「……」
ユリ「思い出してよ。あの人がいなかったら、千くんの人生はどんなだった? 前科のある父親と、水商売あがりの母親に、多額の借金……どれだけ恩があるか……」
千「……」
ユリ「会社の為にも、お義父様の為にも、どうするべきかは分かってるんでしょ?」

 

千「……でも、ユリはそれでいいのか?」
ユリ「えっ……」
千「俺が義父さんや会社の為に君と結婚したとして、それで……そんな理由で……」

 

ユリ「……」

 

千「それでユリは幸せになれるのか?」
ユリ「……なれるわ」
千「……」

 

ユリ「ねぇ、千くんはこの先ずっと、何年たっても、絶対に私を好きになってくれないの?」

 

千「……」

 

ユリ「一生? 1ミリも?」
千「それは……」
ユリ「私、あなたが思ってるよりずっと、あなたの事が好きなんだと思う……だから、待てるよ」
千「……」
ユリ「ほんの少しでいいの。心の片隅で、時々考えてくれるだけでいいの」

 

千「……」

 

 

○ナツキの部屋・玄関前(深夜)


体育座りで、ボーっとしているみより。
部屋から出て来たナツキ。
みより、ナツキに気付いて、背を向ける。

 

ナツキ「いつまでそんなとこにいるんだ」
みより「ナツキ、本当は知ってたんでしょ? 私が千くんにフラれるって……」

 

ナツキ「……フラれた?」

 

みより「とぼけないでよ! どうせなんとなく分かってたんでしょ? 面白かった? 私が小さな事で喜んだり、怒ったり、不安になって落ち込んでるの見て、楽しかった?」
ナツキ「……楽しくないよ、みよりがそんな顔してるのは……」
みより「……運命だって言ったじゃん」
みよりの目から涙が溢れ出す。

 

ナツキ「……」
みより「ごめん……ナツキのせいじゃないのに」
ナツキ「……もう中に入ろう」
みより「やだ。ナツキだって困るでしょ。私、今こんな顔しか出来ないもん」

 

ナツキ「……」

 

ナツキは一度部屋の中に戻って、少しだけ間をおいて、また出てくる。
ナツキ、部屋から持ってきたクマの着ぐるみの頭を、みよりにかぶせる。

 

みより「?! ちょっ! 何?!」

ナツキ「これならどんな顔してても分からないだろ」
みより「……」
ナツキ「帰ろう」
ナツキに手を引っ張られて、ゆっくり立ち上がるみより。

 

○同・居室(深夜)


背中を向けて座っているみよりとナツキ。
みよりにかぶせられたクマの頭から、みよりの泣き声が小さく漏れている。
ナツキ「……」
ナツキは小さく揺れるクマの頭を、ポンポンと撫でる。

 

○大学・キャンパス内広場(昼)


1週間後。爽やかな日差しの下。
ベンチに座り、サンドイッチを食べているナツキとあかね。

 

あかね「えっ、結婚?!」
ナツキ「相手は多分、冴島グループの冴島ユリだと思う」
あかね「それって、政略結婚ってこと?」
ナツキ「そんなとこだろ」
あかね「運命なのに、なんとかならないの?」
ナツキ「ならない。運命と結婚は別だ。世の中はみんながみんな運命の人と結婚出来る訳ではない。出会うタイミングもあるし。運命の人が同性の人だっているから……」

あかね「あの二人、お似合いだったのに……みよりさん、これからどうするの? ナツキの部屋、出て行くの?」

 

ナツキ「……」

 

 

○(回想)ナツキの部屋・居室(朝)


向かい合って朝食を食べているみよりとナツキ。
みより「今日、不動産屋行ってくるから」

 

ナツキ「えっ」
みより「いつまでもナツキに甘える訳にはいかないし……」
ナツキ「そっか……」
みより「だから食べたい物とかあったら、今のうちに言ってて(と笑顔で)」

 

ナツキ「……これ。今日の」
ナツキ、みよりにメモを渡す。
みより「(受け取って)あ、ごめん。今日、香穂と約束してて……今日は晩御飯作れない。明日でもいい?」
ナツキ「うん」

 

(回想終わり)

 

 

○(戻って)大学・キャンパス内広場(昼)

ナツキ「なんか……分からないんだ」
あかね「何が?」
ナツキ「いや……あれから、全然分からなくて、みよりの事……みよりにこれから何が起こるのかとか、みよりが何を考えてるのかも。さっぱり分からない。僕はどこかおかしいのかもしれない……」

あかね「ナツキ……それ、分からないのはみよりさんの事だけ?」
ナツキ「うん」
あかね「……それって、もしかして……」
ナツキ「ん?」
あかね「あ、ううん、なんでもない。あ、じゃあ、明日が何の日かも知らないんだ?」

 

ナツキ「?」

 

○病院・屋上(夕方)


車イスに座った佐和子と千が並んで夕陽を見ている。
佐和子「じゃあ、本当に結婚するの? ユリさんと」
千「うん」
佐和子「無理してない?」
千「……」

 

佐和子「……私ね、あると思うな」
千「ん?」
佐和子「運命……ほら、前にあんた聞いたじゃない?」
千「あぁ……」
佐和子「……母さんね、修一さんに出会った時に思った。『これは運命かもしれない』って」
千「へぇ……義父さんって、母さんが和菓子屋で働いてた時に毎月来てたお客さんだったんだっけ?」
佐和子「うん。ただそれだけ。そんなお客さん、他にも沢山いたけどね」
千「……」

 

佐和子「でもきっと、本当に運命かどうかなんてどうでもいいんだと思う」
千「えっ」
佐和子「『運命の人かもしれない』って思うって事が、大事よ。だってそれって、その人とずっと一緒にいられたらって、願ってるからそう思うんでしょ?」
千「……」
佐和子「……本当はあんたにも、そんな人いるんじゃない?」
千「……」
佐和子「千……あんたの人生は、あんただけのものよ」

 

 

○レストラン・店内(夕方)


みよりと香穂がテーブル席に座っている。
みより、浮かない顔で。

みより「やっぱり、今の貯金では都内はキツくて……」
香穂「そんなに焦って探さなくてもいいんじゃない? 別にナツキくんに出て行けって言われてる訳じゃないんでしょ?」
みより「それはそうなんだけど、いつまでも甘えてはいられないし……それに……」
香穂「?」
みより「最近ナツキ、なんか、元気ないっていうか……私と同じ位、落ち込んでて……」
香穂「えっ、あのナツキくんが?」
みより「うん。きっと私が落ち込んじゃったから責任感じてるんだよ。ナツキってさ、なんでも分かっちゃうから、その分、繊細なんじゃないかな……だから今の私と一緒にいるの、ナツキはしんどいと思う……」

 

香穂「……本当にもう諦めんの? 千くんの気持ち、まだ確かめてないんでしょ?」
みより「別の人と結婚するのに、確かめたって……」

 

その時、店内の電気がパッと消える。

みより「えっ!」

 

バースデーソングが流れ始め、店員が花火付きのケーキ皿を運んでくる。

みより「!」


香穂「1日早いけど、誕生日おめでとう、みより」

みより「! すっかり忘れてた……私、明日で30歳なんだ……」

 

× × ×

ケーキを食べているみよりと香穂。
みより「ちょっと前までは、誕生日は千くんと過ごせるかもって思ってたのにな」
香穂「うん、だから私も、気遣って前日に予約したんだから……」
みより「だよね……ありがとね……」
香穂「……最後の恋だったね」
みより「え?」
香穂「ほら、20代最後の恋!」
みより「あぁ。もうしばらくいいよ、恋は……」
香穂「そう? じゃあ、平成最後の恋かなぁ」

 

 

○ケーキ屋・店内(夜)
ショーケースに並ぶケーキを見て、どれにするか悩んでいるナツキ。

 

○花屋・前(夜)
小さな花束を店員から受け取るナツキ。
左手にはケーキの箱を持っている。

 

○大通り(夜)
ぼんやりと歩いているみより。

× × ×
(フラッシュバック・千のマンション前)
千「俺、みっちゃんの事……」
× × ×

 

みより、立ち止まり、スマホを取り出す。
スマホにはペンギンのストラップ。
みより「……」

 

みより(心の声)「運命なんて、知らなきゃよかった」

 

スマホの画面の時刻は23時59分。
みより、アドレス帳の千の連絡先を開き、データ削除のボタンを押そうとする。

 

みより(心の声)「終わらせなきゃ。20代の恋、20代のうちに……」

削除ボタンをなかなか押せないみより。
すると、画面の時刻が、ちょうど0時に変わる。
みより「あっ」

と、その時、千からメールが届く。

みより「!」

 

○公園・内(夜)


千が立っている。
そこに歩いてきたみより。

 

千「……もう、来てくれないかと思った」
みより「……」

 

千「……みっちゃん、誕生日おめでとう」
みより「……そんなこと言う為に呼び出したの?」
千「……渡したい物があって」
みより、泣きそうになり、ぐっと堪えて。

 

みより「いらないよ……」
千「……」

みより「何もいらない……私、そういうの嫌いなの。捨てられない物、増やしたくないし……辛いだけなの。なんで分からないの?」
千「……分かるよ」
みより「……」
千「俺も辛かったから……みっちゃんの事、傷つけるかもしれないって、失うかもしれないって分かってて。それでも一緒にいたくて、離れたくなくて……」
みっちゃん「……」

 

千「母さんが再婚して、俺の人生は変わった。義父さんには返しきれない恩があった。だから、前から決めてたんだ。結婚する時は、会社の為に、義父さんに薦められた人と結婚しようって……」

 

みより「……」

千「でも、みっちゃんに会えて、諦めきれなくて、ずっと迷ってた……」
みより「……」

 

千「みっちゃん、俺はみっちゃんの事が好きだ」
みより「……!」

 

千「結婚して欲しい」

 

千、みよりの手を掴んで、ポケットから指輪を取り出し、みよりの薬指にはめる。
みより「!」
千「最初からこうすればよかったのに。ごめん……」
みより「千くん……どうして……? どうして、私なんか……」
千「みっちゃん、言ってくれたから……どこにいても、俺は俺だって。俺はそんな人に、そばにいて欲しいんだ」
みより「千くん……」

 

千「……いてくれる?」
みより「……うん」
千「よかった……」
みより「どうしよう……なんか嬉しすぎて、言葉が……(ハッとして)あれ、これ、夢? じゃないよね?」
千「(微笑んで)……」
千、みよりをぎゅっと抱き寄せる。
みより「!」
千「みっちゃん。一緒に暮らそっか」
みより「えっ」
千「もう、離したくないから」
みより「……うん」

 

月明かりの下でキスをする二人。

 

 

○同・前(夜)

みよりと千を見ているナツキ。
ナツキは両手にケーキと花束を持っている。
ナツキ「……誕生日おめでとう、みより」
ナツキは少し寂しそうに、微笑んだ。

 

 

第12話・了

脚本/山下すばる

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第13話「さよならの仕方」

11月19日(月)午後8:55公開

お楽しみに!