風もひんやり。秋も深まって来たこの季節。なんとなく心寂しい気分に。そんなときは植物を生活に取り入れてみませんか? 下北沢にある植物の教室「NEROLIDOL」のフローリストの猪飼牧子さんがご提案します。
 
 

11月のピックアップフラワーは「野バラの実」

5月から始まったこの連載も半年を過ぎ、季節がだいぶ巡ってきました。
 
10月から11月の中秋から初冬のこの時期は、春に芽吹き花を咲かせ、夏には青々と生い茂っていた植物たちが次々と黄色や紅色に葉の色を変え、実を結ぶ時期。
 
この後は、種を落としたり葉を落としたりして次の年のために備える期間になります。
 
そんな時期に目を楽しませてくれる可愛い実たち。
第7回目の11月ピックアップは、可愛らしい小さな赤い実、「野バラの実」です。
 
 

ローズヒップは野バラの実のこと

野バラはバラ科バラ属。
原種のバラに近い一重咲きの繊細で可愛らしい花を咲かせます。
そしてその花が終わったあとそのままにしておくと秋に可愛い赤い実をつけます。
これが野バラの実です。
 
大き過ぎず繊細な赤い実は、アレンジメントや花束に入れるとグッと秋冬らしさが増します。
大きな枝のまま飾ってもそれだけで様になります。
そのままドライフラワーになるので、野バラの実だけでリースを作ってもずっと飾っておけますね。
花材としてとても活躍する野バラの実ですが、実はこの実、みなさまご存知の「ローズヒップ」です。
ハーブティーにそんなに詳しい方でなくても一度くらいは聞いたことがあるであろうローズヒップティー。
これはまさに野バラの実のティーなのです。
ただし、一般に出回っているローズヒップティーになっている実のバラの種類は、イヌバラやハマナス。
なんでも…というわけではないようです。
 
 
 

野バラの実は植物が生きるための知恵が詰まっている

 
そしてこの実。
実は「偽果(ぎか)」なんです。
 
本来、果実は、花の雌しべの少し下部分の「子房(しぼう)」の部分が肥大したもので「真果(しんか)」と呼ばれます。
それ以外の部位が一緒に、またはそれ以外の部位が肥大して果実になった場合は「偽果」とよばれます。
 
例えば、イチゴの赤い実は偽果、本来の真果は外側にあるプツプツ。この中に種が入っています。
りんごも美味しく私たちが食べる部位は偽果。
真果は大概は捨ててしまう芯の部分です。
逆に梅や柿、柑橘類などは真果。
 
真果と偽果の見分け方は、果柄(かへい)。
※枝から果実までをつないでいる部分。
 
花だった時は萼から茎の部分と、実際の萼の跡が果実の同じ側にあるものは真果、逆側にあるものは偽果です。
 
真果、偽果どちらがいい、というわけではなく最終的には子孫を残すため、鳥たちなどにいかに美味しく食べてもらうか?を植物達が考えた末の知恵、と思うとなんだかいじらしいですよね。
 
 

野バラの実・ローズヒップを使ったレシピをご紹介

 
と、ちょっとまたこ難しいお話になってしまいましたが最後は美味しく締めたいと思います。
今回はローズヒップとハイビスカスのはちみつ漬け。
ローズヒップはビタミンCの爆弾!と言われるほどビタミンCを豊富に含みます。
ハイビスカスは酸味が代謝を促しカリカリした歯ごたえも美味しいです。
もちろんティーとして飲んでも良いのですがどうせなら全部食べてしまいましょう!
 
 
   

ローズヒップとハイビスカスのはちみつ漬け

《材料》
はちみつ 80g~100g
ドライローズヒップ 小さじ1~1.5
ドライハイビスカス 小さじ1~1.5
(ハーブティで売っているもの)
 
《作り方》
①はちみつを耐熱容器(この時点から保管する容器に入れたほうが楽です)にいれて湯煎にかける。
②はちみつにローズヒップとハイビスカスを入れ50℃くらいの温度を保ちながら、途中少しかき混ぜながら15分ほど湯煎する。
(はちみつは60度以上で成分が壊れるので、50℃くらいを保つとよい。)
③粗熱が取れたら蓋をしてできあがり。
 
湯煎温度はそんなに高くないので、ローズヒップやハイビスカスは歯ごたえが残ったままになります。
カリカリと噛むと酸味がおいしいので、そのままヨーグルトなどにかけたりしてもいいです。
はちみつにもハーブの栄養が溶け込み、さらに丸ごとハーブを食べることですべての栄養がいただける簡単レシピです。
 
手軽にお湯で割ってハーブティにして、秋の夜長をゆっくり楽しんでみては。