ラーラぱどでWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める月9みたいな恋愛シナリオドラマ。全15話を、本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

千に「結婚したい人がいる」と言われ、失恋したみより。一方、ナツキはみよりの事がさっぱりわかならくなってしまう。そんな中、迷っていた千は、心を決めてみよりにプロポーズ。みよりの運命の恋は幸せな結末に向かっていく!

 

【連続シナリオドラマ】きみはまだ運命の恋を知らない/第12話

 

本作の人物紹介

【月野みより】
30歳。喫茶店『プルミエラムール』でアルバイト中。千と恋人になる。
【神生ナツキ】
20歳の大学生。恋守神社の一人息子。
不思議なチカラを持つ恋のキューピット。
【東雲 千】
29歳。みよりの初恋の相手で運命の人。東雲ホールディングスの副社長。
【高梨香穂】
29歳。みよりの友人。
【冴島ユリ】
27歳。千の大学の後輩で、元婚約者。冴島グループの社長令嬢。
【青柳陽一】
42歳。喫茶店『プルミエラムール』の天然店長。
【東雲修一】
55歳。東雲ホールディングスの社長。
千の義父。
【水原あかね】
20歳。大学生。ナツキと同じ大学に通い、同じアパートに住んでいる。

 

第13話『さよならの仕方』

○千の部屋・寝室(朝)


ベッドの上で目を覚ますみより。
みより「(天井を見つめて)……あれ、私?」

 

千「おはよう、みっちゃん」
みよりの隣には千が座っている。

 

みより「(起き上がって)千くん……これって……夢? じゃないよね?」

千「(笑って)みっちゃんそれ、2回目」

 

 

○同・リビング(朝)


パンを食べて、コーヒーを飲んでいるみよりと千。
千「ここのパン美味しくない?」

 

みより「(ボーっとして)……」

 

千「みっちゃん?」
みより「あ、ごめん。なんか、まだ現実味無いっていうか……脳がついていけてない」
千「ごめん、みっちゃん。俺、昨日はあんな事言ったけど……実は……」

 

みより「!(身構えて)」
千「まだ、話してないんだ……ユリと……あ、予定してた結婚、辞める事……」
みより「!……」

 

千「でも俺、ちゃんとするよ。今日、義父さんにも話そうと思ってる」
みより「(不安そうな顔で)……」
千「大丈夫だから。信じて欲しい……」
みより「千くん……」

 

 

○同・玄関(朝)

スーツを着た千が出かけるところで、それを見送るみより。
千「あ、これ。合鍵(と、みよりに渡す)」
みより「(受け取って)……」
千「自分の部屋だと思ってくれていいから」
みより「ありがとう……あ、なんか、しておくことある? 掃除とか!」
千「気使わなくていいよ……あ、でも1つだけ……」

 

みより「?」

 

千「みっちゃんの料理が食べたいかな」
みより「なんだ、そんなこと?」
千「俺、ずっと羨ましかったんだよな。ナツキくんだっけ? 毎日みっちゃんが作ったご飯食べられるなんて。いいなって……」
みより「千くん……」

 

千「あ、でもみっちゃん、誕生日だし。今日は外食がいいか……」
みより「ううん! 大丈夫! 作る!」
千「(嬉しそうに)本当? じゃあ、楽しみにしてる」

 

みより「(ハッとして)あっ……」
千「ん? どうかした?」
みより「……あ、いや、なんでも……」

 

 

○ナツキの部屋・玄関前(昼)


ガンガンとドアを叩いているあかね。
あかね「ナツキ! いるんでしょ?」
あかね、ドアの取っ手を捻ると、鍵が開いていて。
あかね「……」

 

 

○同・居室(昼)
入ってくるあかね。
ナツキがベッドの蹲っている。
あかね「大学、行かないの?」
ナツキ「……ちょっと、体調悪いんだ。胃がムカムカして」

テーブルの上に、少しだけ残った食べかけのホールケーキと花束が置いてある。

 

あかね「もしかしてこれ、一人で食べたの? みよりさんは?」
ナツキ「……みよりなら、もう帰ってこない」
あかね「えっ……」
ナツキ「みよりは東雲千と結ばれたんだ。もう僕の役目は終わった……」

 

あかね「そっか……それで? なんでナツキが泣いてるの?」
ナツキの目から、涙が零れている。
ナツキ「……」

 

 

○喫茶『プルミエラムール』・店内(昼)


カウンターでコーヒーを飲んでいる香穂。
みよりがカウンターの中で溜息を吐く。

 

それを見ていた青柳。
青柳「どうしたの? 溜息なんて。プロポーズされて、幸せの絶頂なのに」
みより「そうなんだけど……」
みより、手にメモを持っている。

 

メモには『オムライス』と書かれている。

 

× × ×
(フラッシュバック・ナツキの部屋)
みより「食べたい物とかあったら、今のうちに言ってて(と笑顔で)」
ナツキ「……これ。今日の」
ナツキ、みよりにメモを渡す。
みより「(受け取って)あ、ごめん。……明日でもいい?」
× × ×

 

みより「先に約束をしてたのはナツキだけど……千くんの気持ちを考えるとなんか……これって、私の気にしすぎかな?」

 

青柳「気にしすぎだよ~。きっと二人とも、夕飯ぐらいでそんなに怒らないよ」
みより「そうだよね……たかが夕飯ぐらいで」

 

香穂「それはどうかな?」

 

みより・青柳「?」
香穂「私は、ここは先約がどうであれ絶対に千くんに夕飯を作るべきだと思う!」
みより「えっ?」
香穂「だって千くん、明らかに嫉妬してるでしょ? ナツキくんに」
みより「千くんがナツキに?」
香穂「だっておかしいじゃん。まだ親にも婚約者にも話してないのに、焦ってプロポーズする? 一緒に暮らそうって言ったのも、早くみよりにナツキくんのところから出て行って欲しいからでしょ?」

 

みより「……」
香穂「ましてや今日は誕生日。そんな日にナツキくんを優先されたら、千くんは不安になるよ?」

 

みより「……でも、もうこれからナツキには作ってあげられないと思うと……」
香穂「……みよりはナツキくんの何?」
みより「えっ」
香穂「恋人でも、母親でも無いんだよ?」
みより「……」

 

 

○東雲ホールディングス・社長室(昼)


デスクに座っている東雲修一。
ノックの音がして、入ってくる千。

 

千「義父さん……」
修一「おぉ、千。どうした?」
千「……話があって。冴島ユリさんとの結婚の事で……」
修一「あぁ、佐和子さんから聞いた。他に想っている人がいるんだろう?」

 

千「!……本当に、すみません。義父さんと冴島社長の関係もあるのに……」
修一「……あんまりじゃないか、千」
千「……」
修一「お前はまだ、本音の一つも言ってくれないのか?」
千「えっ」
修一「(笑って)今度ぜひその人を連れて来なさい。一緒に食事でもしよう……そういうの、ずっと憧れてたんだ……すまなかった。余計なお節介で、プレッシャーをかけてしまって……」

 

千「! ごめん、義父さん……俺、今まで、義父さんにいつも貰ってばっかりなのに、何も返せなくて……」

 

修一「あのな、千。私は佐和子さんと結婚する時……親にも親戚にも随分と反対された……その時、飽きるほど言われた。絶対に後悔するから辞めろって……でも、後悔した事なんて一度も無い」
千「……」

 

修一「千、お前を息子に持てた事を誇りに思ってる。最初からずっと、貰っているのは私の方だ。だからお前が私に返さなければいけないものなんて、何も無いよ」

 

千「義父さん……」

 

 

○カフェ(昼)


向かい合っている千とユリ。

 

千はユリに頭を下げている。
ユリ「そんなの嫌……」
千「ユリにも、ユリのご両親にも、本当に申し訳ないと思ってる……だけど、もう決めたんだ。義父さんにも話した……」

 

ユリ「でも、あの人と結婚なんて……もうちょっと考えるべきよ。千くん、あの人の事なんにも分かってないのよ」

 

千「……ユリ、あの写真の事なんだけど。あれ、やっぱりユリが送ったんじゃないか?」
ユリ「えっ……何言って……」
千「ユリは知らない人から写真が送られてきて、みっちゃんの事を調べたって言ってたけど……あんなに細かく調べられるんだったら、どうしてそんな怪しい写真を送ってきた人の事は調べようとしなかったの?」
ユリ「! そ、それは……」

 

千「……ごめん。でも、俺は……やっぱりみっちゃんの事が好きなんだ。それはもう変わらないから」
ユリ「……もう、分かったわよ……好きにすれば……」
千「ありがとう……」

 

千はもう一度深く頭を下げた後、その場を立ち去っていく。
ユリ、千が去った後、スマホの写真フォルダを開く。
そこに隠し撮りした千の写真や、みよりの写真が並んでいる。
みよりの写真を眺めるユリ。

 

ユリ「……絶対に許さないけど」

 

 

○公園・前(夜)

紙袋を持って歩いているみより。
みよりは溜息を吐く。

 

みより(心の声)「あれ? 私、なんでまた溜息なんて。やっと千くんと結ばれて、夢かと思うくらい、幸せなのに……」

 

みより、何気なく公園のベンチが見えて、立ち止まる。

 

ナツキと出会ったベンチ。みよりは思い出を振り返る。

× × ×
(フラッシュバック・公園)
ベンチに寝転がっているみよりの前に、クマの着ぐるみを着たナツキが現れる。
みより(声)「えっ、クマ? 東京なのにクマ?!」
クマ、みよりをガバッと抱き上げる。
× × ×

 

(フラッシュバック・ナツキの部屋)
ベランダの小鳥を眺めるみよりとナツキ。
ナツキ「きみはまだ知らないだけだ。みよりにも運命の相手がちゃんといる」
ナツキ「公園で寝るのはやめた方がいいよ。女の子なんだから」
× × ×

 

(フラッシュバック・恋守神社)
ナツキ「君は明日、運命の人に会える」
× × ×

 

(フラッシュバック・ナツキの部屋)
みよりの料理を食べて、涙を流すナツキ。
× × ×

 

(フラッシュバック・公園)
ナツキ「一緒に住もう!」
ナツキ「……好きだから」
ナツキ「みよりの料理が!めちゃくちゃ美味しかった!」
× × ×

 

(フラッシュバック・パーティー会場)
ナツキ「みよりには僕がいる」
ナツキ「僕はカボチャの馬車にも、ドレスにも、ガラスの靴にだって負ける気がしないよ?」
× × ×

 

(フラッシュバック・ナツキの部屋の前)
ナツキ、クマの着ぐるみの頭を、みよりにかぶせる。
みより「?! ちょっ! 何?!」
ナツキ「これならどんな顔してても分からないだろ」
ナツキ「帰ろう」

× × ×

 

みより「……そっか、私……」

みより(心の声)「寂しいんだ。ナツキと……さよならをするのが……」

 

○ナツキの部屋・玄関前(夜)


玄関チャイムを鳴らすみより。
そこに通りかかったあかね。

 

あかね「ナツキなら、今いませんよ」
みより「えっ?」
あかね「なんか、今日は実家に帰るって……鍵、忘れたんですか?」

 

みより「あ、ううん……そうじゃないんだけど……あ、あかねちゃんオムライス好き? これ、作ってきたんだけど食べない?」

みより、あかねに紙袋を渡す。

 

あかね「(受け取って)作ってきた……? 帰ってきたんじゃなくて?」
みより「えっ……」
あかね「本当に出て行くんですね……ナツキから聞きました。千さんにプロポーズされたって」

 

みより「えっ、なんで知ってるの? あ、そっか。ナツキだもんね。それぐらい分かってるか……」
あかね「(俯いて)……」
みより「あかねちゃん、どうかした?」
あかね「……あぁ、もう!」
あかね、みよりに紙袋を突っ返して。

 

あかね「ちょっと、これ持って走ってきてください!」
みより「えっ? ど、どこに?」
あかね「ナツキ、さっきそこで別れたばっかりなんで。駅に向かえば会えます!」

 

みより「でも私、もう帰らないと……」
あかね「……ナツキ、寂しそうでした」
みより「えっ……?」

 

あかね「ナツキはみよりさんじゃなきゃダメなんです……これ、ナツキの為に作ったんですよね? だったらせめて、ちゃんとナツキに渡してあげてください!」

 

みより「(紙袋を見て)……」

 

 

○住宅街(夜)


走っているみより。

みより(心の声)「なんで? なんで私、走ってるんだろう」

 

○千の部屋・玄関(夜)
外から入ってくる千。
千「ただいま……」

 

○同・リビング(夜)
電気の点いていない部屋。
千「みっちゃん……?」
みよりの姿はなく。
千「……」
千、スマホを取り出し、みよりに電話をかける。

 

○大通り・歩道橋の下(夜)


息を切らして走っているみより。

 

みより(心の声)「別に、一生会えない訳じゃないし、オムライスだってまた作ればいいのに……なんで私……」

 

スマホが鳴っていることに気付いて、立ち止まったみより。
それと同時に歩道橋の上を歩いているナツキの姿が目に入って。
みより「ナツキ!」
その時、みよりの背後には黒い男の影が近付いている。

 

○同・歩道橋の上(夜)


歩いているナツキ。
みより(声)「ナツキ!!」

 

みよりの声が聞こえ、立ち止まるナツキ。
ナツキ「……みより?」

ナツキ、辺りを見渡す。

 

ナツキ「(みよりを見つけて)みより!」
ナツキと目が合い、微笑むみより。

 

その時、みよりの背後から黒い服を着た男が現れるのが見えて。
ナツキ「! みより!」
駆け出すナツキ。

 

 

○同・歩道橋の下(夜)
男の腕が、すばやく後ろからみよりの口をハンカチで塞く。
みより「!?」

 

× × ×

慌てて歩道橋から下りてきたナツキ。
しかし、すでにみよりの姿は無く、道路にみよりのスマホが落ちている。

 

ナツキ「(拾って)みより……」
ナツキ、遠くの方に走っていく黒いワゴン車が目に留まる。
その時、みよりのスマホに千から着信が入る。
ナツキ「(電話に出て)……」
千(声)「もしもし? みっちゃん?」

ナツキ「……みよりが、さらわれた」

 

 

○千の部屋・リビング(夜)

電話を耳に当てて、呆然としている千。
千「えっ……?」

 

○走っている黒いワゴン車・中(夜)

後部席で眠っているみより。
運転をしているのは黒い服を着た男。
男「おい、この女、どうするんだ?」
助手席にはユリ。

ユリ「消すの」
男「えっ」

 

ユリはスマホの写真フォルダを見ながら。
ユリ「だって消えて欲しいじゃん」

 

隠し撮りしたみよりの写真を次々と選択していくユリ。
ユリは削除ボタンを押し、みよりの写真を消して。

 

ユリ「さようなら、みよりさん――」

 

みよりはまだ、深い眠りの中にいた。

 

 

第13話・了

脚本/山下すばる

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第14話「助けて!」

12月3日(月)午後8:55公開

お楽しみに!