ラーラぱどのWEB限定の連続ドラマ「きみはまだ運命の恋を知らない」は、5分で読める月9みたいな恋愛シナリオドラマ。全15話を、本家の月9にチャンネルを合わせる5分前、月曜隔週20時55分にWEB限定で公開中!ドラマの脚本は「AbemaTV」で開催された第1回「シナリオライター賞」で、全600作品の応募の中から「大賞」に輝いた山下すばるさんが書かれました。

 

前回のあらすじ

千にプロポーズされて幸せの絶頂のみよりだったが、同時にナツキとの別れに寂しさを感じていた。そんな中、千に婚約破棄され、逆上したユリがみよりを誘拐する?! 千とナツキはみよりを救うことが出来るのか――?

 

 

本作の人物紹介

【月野みより】
30歳。喫茶店『プルミエラムール』でアルバイト中。千と交際中。
【神生ナツキ】
20歳の大学生。不思議なチカラを持つ恋守神社の一人息子。
【東雲 千】
29歳。みよりの初恋の相手で運命の人。
東雲ホールディングスの副社長。
【高梨香穂】
29歳。みよりの友人。
【冴島ユリ】
27歳。千の大学の後輩で、元婚約者。冴島グループの社長令嬢。
【水原あかね】
20歳。大学生。ナツキと同じ大学に通い、同じアパートに住んでいる。
【神生悟志】
47歳。ナツキの父。

 

 

第14話『助けて!』

○森の中・大木の下(夜)


目を覚ますみより。
みより「(辺りを見渡して)ここ、どこ?」

 

暗くて静かな森の中。みよりの体は大きな木に縛り付けられている。

みより「えっ! なにこれ?!」

 

ユリ「……おはよう、みよりさん」
みよりに近付いてくるユリ。

 

みより「……あなた……どこかで……」

 

ユリ「あなたが悪いのよ?」
みより「?」
ユリ「私、今まで手に入らないものなんて無かったのに……」
みより「え?」

 

○走っている車の中(夜)


運転している千。後部席に座るナツキ。

 

千「本当にユリなのか?」
ナツキ「間違いないと思う。あと、もう一人男がいる……」
千「!……俺のせいで……」
ナツキ「あんたのせいじゃない……それを言うなら、みよりをあんたに会わせた僕のせいだ……」

 

千「えっ?」
ナツキ「……」

窓の外、車は山奥を進んでいる。
千「みっちゃんは本当にこんな所に?」
ナツキ「……分からない」
千「えっ、分からないって」
ナツキ「みよりがいるのかは分からないけど。でも、冴島ユリはこの辺りにいる。それは分かる」
千「?」

 

○森の中・大木の下(夜)


ユリ「一目惚れだったの。大学で千くんを見かけて……」

 

みより「千くん……あ、あなた、パーティーの時の……!」

 

ユリ「そう、パーティー。私が千くんと初めて話したのもパーティーだった。あれは、神様がくれた運命だと思ったの……」
みより「?」
ユリ「あの日、酔っ払いに絡まれた私を、千くんが助けてくれた……でもそのせいで千くんはケガをして……」

 

○(回想・9年前)公園(深夜)

ベンチに座っている千(21)。
千の頬が赤く腫れている。
水で濡らしたタオルを千の頬に当てるユリ(19)。

 

ユリ「ごめんね、私のせいで……」
千「……大丈夫。気にしないで(と、微笑む)」

 

ユリ「(千を見つめて)千くん……」
ユリは千の唇にキスをしようとして。
千「!」
慌てて顔をそらす千。

 

千「ごめん……俺、そんなつもりじゃ……」
ユリ「(ショックで)……」

 

(回想終わり)

 

○(戻って)森の中・大木の下(夜)


ユリ「……初めてだった。あんな風に、誰かに拒絶されたの……」
みより「……」
ユリ「それが許せなかった。大学を卒業しても、その事が忘れられなかった……そしたら今になって結婚の話が来て……」
みより「あなたが、千くんの……」
ユリ「今度こそ運命だと思ったの……それなのに、また手に入らなかった……どうして千くんは……」

 

ユリはみよりの顔を手でぐっと掴む。
みより「!」
ユリ「私、あなたにどこが負けてるの? 見た目だって、家柄だって、若さだって! どっからどう見たって私の方がいいでしょ?」

 

みより「……あなたは、本当に千くんの事が好きなの?」
ユリ「はぁ?」
みより「さっきから聞いてると……手に入らなかったから、意地になってるみたいに見えて……」

 

ユリ「好きに決まってるでしょ? 好きだから意地になるのよ! 好きだから欲しいし、好きだから許せない。好きだから消えて貰いたいの、あんたに!」
みより「……私を、どうするつもりなの?」
ユリ「餌にする」
みより「……餌?」
ユリ「クマの餌。この辺り、クマが出るの」
みより「えっ!?」
ユリ「可哀想な千くん……愛した人を失って、傷付いた千くん……その時はどんな顔するのかな?」

 

ユリはスマホの写真フォルダを開いて、みよりに見せる。
そこには隠し撮りされた大量の千の写真。

 

みより「(ゾッとして)……!」

 

ユリ「私ね……こんな風に千くんの色んな顔を写真に撮るのが好きなの……でもこれはSNSになんて載せない。全部私だけの物なんだ(と、微笑んで)」

 

みより(心の声)「こ、怖い……なんなのこの人……本気なの?」

 

みより「……でも、私が本当にクマに襲われたら、あなたは殺人犯? それはまずいんじゃ……」
ユリ「は? 金持ちナメないでくれる? ちゃんと別の犯人も用意してるわ。その証拠も」
みより「ね、ねつ造?! で、でも、私が生きて帰ったら!」
ユリ「そうね、それは困るな。ま、もし、生きて帰れればだけどね」
と、その場を離れようとするユリ。

 

みより「! ちょ、ちょっと待って! 本気じゃないんでしょ?」
ユリ「(止まって)……じゃあ……別れてくれる?」
みより「えっ」
ユリ「千くんと別れて、千くんの前から、消えてくれる?」
みより「……」
ユリ「そうすれば私はあなたには何もしない。なんなら、手切れ金もあげる……いい話だと思わない? あなた、貯金も無くて、家も無いんでしょ?」
みより「……」
ユリ「私は本気よ……どうする?」

 

みより「私は……」
ユリ「……」
みより「……千くんとは別れない……」

 

ユリ「……なんでよ!」
みより「だって、私が千くんと別れたら、あなたは千くんに付きまとうんでしょ?」
ユリ「そんなの、あなたが死んでもつきまとうわよ!」
みより「……分かってる……だから私は、絶対生きて帰る。生きて帰って、あなたを刑務所に入れて、千くんを守る……」

 

ユリ「!……バカじゃないの……」
みより「……」
ユリ「もしかして、本気で自分が千くんが運命の人だなんて思ってる?」
みより「!」
ユリ「縁結びの天使だかなんだか知らないけど。そんな夢みたいな話……あなたの運命、私が終わらせてあげる。あなたの人生ごとね!」
みより「!……」
去っていくユリ。
一人、取り残されるみより。
必死に体を揺らし、ロープをほどこうとするが、きつく縛られている。
みより「えっ……私、本当に死ぬの……?」

 

 

○山道(夜)

立っている千とナツキ。
森の方へ人を引きずったような跡がある。
ナツキ「これ……!」
千「みっちゃん……!」
急いで森に入る二人。

 

 

○森の中(夜)

スマホのライトを頼りにみよりを探して歩いているナツキと千。
千「みっちゃん!」
ナツキ「みよりー!」
道が二つに分かれている所に来て。
千「……二手に分かれよう」
ナツキ「うん!」

 

 

○森の中・大木の下(夜)


静かな森の中。
みより「誰か! 助けて! 助けてー!」

 

みより(心の声)「なんで私、こんな目に……私はただ、幸せになりたかっただけなのに。ていうか今日、誕生日なのに……」

 

 

○森の中(夜)
必死に探し回るナツキ。
ナツキ「みより……どこにいるんだよ……」

 

○森の中(夜)
呆然と歩いているユリ。
ユリ「どうして……なんで別れるって言わないのよ……」
ユリは立ち止まり、ハッとする。
ユリ「! どうしよう……私……本当に置いてきちゃった……」
慌てて来た道を引き返すユリ。

 

 

○森の中(夜)
必死に探し回る千。
千、物音が聞こえた気がして。
千「みっちゃん?」
草むらから出てきたユリ。
千「ユリ……」
ユリ「千くん、どうしよう……私……」

 

 

○森の中・大木の下(夜)


すっかり疲れ果てているみより。
みより「もう、本当に無理かも……もう、疲れたよ……」
みより、夜空に浮かぶ月を眺めて。

 

みより(心の声)「思えばこの数か月、色々あった……慎一の浮気……会社は倒産するし……アパートも追い出されて……公園でクマにさらわれて……でもそれも全部、千くんに会う為だったんだって思ってたのに……なのに、最後はクマの餌って……」

 

みより「……てか、本当に出るの? クマ……」

みより、急に寒気がして、周りを見回す。

 

静かで暗い海の底のような闇。
耳を澄ますと、どこからともなく、ガサガサと音が聞こえてくる。

 

みより「!」

みより(心の声)「やだ……何の音?……どうしよ……まじで怖くなってきた……」

怯えながら、草むらを見つめるみより。

みより(心の声)「怖いよ……もうやだ……帰りたい……助けて……誰か……」

どんどん近付いて、大きくなる音。
息を殺すみより。

 

みより(心の声)「助けて……助けてよ……」

すぐそこまで迫ってきている音。
みより、ぎゅっと目を瞑って。

 

みより(心の声)「……ナツキ!……助けて……ナツキ!」

ガサガサッーー。
その時、みよりの前に現れたナツキ。

 

ナツキ「みより!」
みより「(目を開けて)……ナツキ!」
ナツキは急いでみよりのロープを解く。

 

ナツキ「みより、もう大丈夫だから!」
みより「(泣きながら)ナツキ……怖かった……まじで、死ぬかと思った……私……」
ナツキはみよりを力強く抱きしめる。
みより「!」

 

ナツキ「……よかった……無事で……」
みより「ナツキ……ごめんね……私、オムライス……食べさせてあげられなくて……私……」
ナツキ「みより、もういいんだ」
みより「……」
ナツキ「もう一生食べれなくてもいい……みよりが生きててくれれば、それでいい」
みより「……」
ナツキ「僕は何もいらない……」
みより「……」

 

千(声)「みっちゃん!」
千の声が聞こえてくる。

 

ナツキがみよりから体を離すと、みよりはナツキの目から涙がこぼれているのが見える。
みより「ナツキ……」
隠すように涙を拭うナツキ。

 

千「みっちゃん!」
二人を見つけて、駆け寄る千。
みより「……千くん!」
千、みよりを抱きしめて。

 

千「みっちゃん、ケガは?」
みより「……ううん、大丈夫」
千「よかった……ごめん、みっちゃん。俺のせいで、こんな目に……」
みより「……」

 

ナツキ「(抱き合う二人を見て)……」
何も言わず、その場を立ち去るナツキ。

 

少し離れた所で呆然と立っているユリ。
ナツキはすれ違い様にユリに話しかける。
ナツキ「今度みよりに何かしたら、僕が許さない……」
ユリ「……」
ナツキ「……それと、君はまだ知らないだけだ……」
ユリ「?」
ナツキ「君にもちゃんと、君を幸せにしてくれる運命の人がいるよ……」
ユリ「……バカじゃないの」

 

○喫茶『プルミエラムール』・店内(昼)


一週間後。

 

並んで座っているみよりと香穂。
香穂「もう平気なの?」
みより「うん。大したケガも無いし」
香穂「でも、本当に出さないの? 被害届」
みより「ユリさんも、本当に置き去りにするつもりはなかったみたいだし。それに、あの辺りクマなんて出ないんだって」
香穂「でも……」
みより「あんまり大事にしたくないの」
香穂「そっか……あ、ナツキくんは? 元気?」

 

みより「……あれから会ってないの。ナツキの部屋に置いてた荷物は千くんが取りに行ってくれたし……あのね、香穂……私ね……」

香穂「?」

 

みより「あの時……森の中で、もう死ぬかもしれないって思った時に。気付いたら心の中で、ナツキの名前を呼んでた……」
香穂「えっ……」
みより「……ナツキなら助けてくれるって思ったのかも。私、今まで色々、ナツキに助けられてきたから……」
香穂「みより……」

 

みより、ポケットから鍵を取り出す。
みより「この鍵、返さないとね……」
香穂「みより……もしかして、ナツキくんの事……?」
みより「……」

 

○大学・正門前(昼)


あかねが入口の方で、キョロキョロしているみよりを見つける。
あかね「? みよりさん?」

 

○同・キャンパス広場(昼)


ベンチに座っているみよりとあかね。
目の前をキラキラとした表情で楽しそうに話す大学生達が通る。
みよりはそんな大学生達を眩しそうに見ている。

みより「……ナツキも普段はあんな感じ? 大学にいる時……」
あかね「どうかな。あたしにとってはどこにいても、ナツキはナツキですから……」
みより「……」

 

あかね「……あたし、みよりさんの事、嫌いでした」
みより「えっ」
あかね「最初は……突然現れて、ナツキの部屋に住んで、ご飯作って。彼女でも母親でも無いくせにって……」

 

みより「……」

 

あかね「みよりさんは、どう想ってるんですか? ナツキの事……」
みより「うーん……天使、とか?」
あかね「はい?」
みより「……もうダメってぐらい疲れた時に、目を瞑ると、空から降ってきて、迎えに来てくれる。ほら、昔、アニメで観た。あれ」
あかね「あぁ、フランダースの……」
みより「ナツキはその天使みたい。あと、時々、クマの着ぐるみを着て、ヒーローにもなる」
あかね「……そういう事じゃなくて……ただの男の子としてですよ……」
みより「……」

 

あかね「ナツキはみよりさんが思ってる程、強くないです……余裕に見えても、本当は寂しいし、悩んでるし、逃げるし、見失う……」
みより「あかねちゃん……」
あかね「ナツキ……来週からイタリアに行くんです」

みより「えっ……イタリア?」

 

あかね「……絵の為に? なんか、急に決めたみたいで。あの部屋も、3日前に出て行きました」
みより「えっ……」
あかね「ナツキは怖かったんじゃないんですか? みよりさんがいなくなるのが……もうあの部屋でじっとしていられないぐらい、怖くて、寂しかったんですよ……」
みより「……」

 

 

○恋守神社(昼)


袴を着たナツキが、ボーっと空を眺めている。
そこに歩み寄ってくるナツキの父・神生悟志(47)。

 

悟志「本当に行くのか? イタリア……」
ナツキ「うん……あのさ、父さん」
悟志「ん?」
ナツキ「僕の力って、じぃちゃんの遺伝だよね」
悟志「あぁ、隔世遺伝ってやつだな」
ナツキ「じぃちゃんも……自分の運命の人は見えなかったのかな……」
悟志「そんな事言ってたかもなぁ……」
ナツキ「じゃあ、じぃちゃんはどうしてばぁちゃんと結婚したんだ? ばぁちゃんには、他に運命の人はいなかったのかな……」
悟志「……」

 

○住宅街(夕方)


一人、歩いているみより。

 

× × ×
(フラッシュバック)
香穂「みより……もしかして、ナツキくんの事……?」

× × ×

あかね「みよりさんは、どう想ってるんですか? ナツキの事……」

 

× × ×

 

みより(心の声)「言葉に出来なかった……私、本当はいつから気付いていたんだろう……」

 

× × ×
(フラッシュバック・ナツキの部屋)
ナツキ「……おかえり」
みより「?……た……ただいま?」
ニッコリと微笑むナツキ。

× × ×

 

みより(心の声)「いつのまにかあの部屋で、ずっと息を止めるようにして、気付かないようにしていた事に」

 

× × ×
(フラッシュバック・ナツキの部屋)
背中を向けて座っているみよりとナツキ。
クマの頭をかぶって泣いているみより。
ナツキ「……」
みよりの頭を、ポンポンと優しく撫でるナツキ。

× × ×

(フラッシュバック・森の中)
ナツキ、みよりを強く抱きしめる。
ナツキ「みよりが生きててくれれば、それでいい」

× × ×

 

みより(心の声)「気付いた途端、どこか遠くへ飛んで行ってしまうような気がした」

 

○ナツキの部屋・玄関前(夕方)


鍵をガチャリと開けるみより。

 

○同・居室(夕方)
家具が無い、がらんとした部屋。
みよりが入ってくる。
奥に1枚の絵だけがぽつんとある。
ナツキが描いた、二羽の鳥が星空に飛び立っていく絵。
絵の前に立ち尽くすみより。

みよりの目から、こぼれ落ちる涙。

 

× × ×
(フラッシュバック・歩道橋の上)
みより「そういえばあの絵……いつ完成するの?」
ナツキ「完成はしない」
みより「え、なんで?」
ナツキ「完成したらそこで終わる。それは寂しい」
みより「完また次の絵を描けばいいんじゃないの?」
ナツキ「……じゃあ、もし完成したら、あの絵はみよりにあげるよ」

× × ×

 

涙を流しながら絵に触れるみより。
みより「……本当……完成したら、寂しいね……」
みよりはナツキの絵を包み込むようにそっと抱きしめる。

 

みより(心の声)「さよなら、ナツキ……ありがとう……大好きだったよ……」

 

○飛行機の中


座席に座っているナツキ。
窓の外、遠くの空をじっと眺めている。

 

 

第14話・了

脚本/山下すばる

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第15話・最終回「きみはまだ運命の恋を知らない」

12月17日(月)午後8:55公開

お楽しみに!